四三 ページ43
離反の所為か城内はずっとあれから忙しい様子。
信長も、おそらく全く寝てない。それほど、信行殿には助かっていたんだろう。
俺と荒川は廊下で歩きながら話していた。
「忙しそうですね。みなさん」
「…まぁ、戦も近いだろうしな」
「やっぱり、戦国時代なんですね」
荒川の表情からは哀しみが見えた。
俺にはどうすることも出来ない。戦をやめろなんて、バカなことは言えない。それが世の常になっちまったんだ。
「…そうだな」
今はそれしか言えない。信長が本能寺で死ななければきっと終わる。
「私、いつ帰れるんですかね。帰れるような前兆もないし。あ、先生はここにいるんですよね?」
「わかってたのか。なにかの衝撃で帰れるんじゃねぇの」
来たときも、俺がいても結構な衝撃あっただろうし、何本か骨逝ってんじゃね。
「それ、私に死ねって言ってます?」
「まぁ、間違いではない」
苦笑いをしてそう答えた。
こればかりは、俺にはどうすることも出来ない。俺は時間操れるカミサマじゃないし。
「大丈夫だ、いつか絶対帰れる」
「そうですね」
会話がひと段落すると、少し先に花果が現れた。俺と荒川は立ち止まり花果を見た。
「お話の中失礼します。帰蝶様、準備が整いました」
「ああ、わかった。…花果」
「はい」
「東部の偵察に向かってくれ」
「は、っ」
花果は了解すると、風のように消え去っていった。
「荒川、ごめん俺出掛けてくる。信長には黙っといてくれ」
「わかりました。気をつけてください」
頷くと荒川は俺とは逆に歩き出した。俺もそれを見て歩き出した。
「あ、先生」
「ん?」
「私、戦に出ます」
あぁ、俺は子供に何をさせてるんだ。俺はもう、先生なんかじゃない。
俺は少し間を開けた。
「そっか。まあ練習とかしとけよ」
振り向きもせず、謝罪もせず、それしか言えなかった。
.
1212人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛之助(プロフ) - 安奈さん» その件は存じております、「乱」と記されていたこともあったので初期は乱丸としていますご了承ください。指摘が多かったので、後編の方では蘭丸に変更しました。ご心配ありがとうございます。 (2月21日 19時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
安奈(プロフ) - 森蘭丸のらんは花の蘭だったはずです。ご確認下さい。 (2月21日 19時) (レス) @page17 id: dd0f887606 (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗@別垢(プロフ) - うふふ…腐腐腐…尊い…腐腐腐腐腐… (2月10日 21時) (レス) @page37 id: 3c14d32f91 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - あっ文の構成とか何までクソ好きです……オリジナル作品でこんなに良い作品初めて出会いました有難うございます(土下座) (1月21日 17時) (レス) id: 006bd7f18c (このIDを非表示/違反報告)
愛之助(プロフ) - 容音さん» 自分のプロフ見てみたら、通知出来ていないですかね…?説明が下手で申し訳ないです! (2021年5月17日 0時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:大手裏剣 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/10edaabbfe1/
作成日時:2018年6月26日 14時