十四 ページ14
「ここはいつ来ても賑やかだなぁ…。きっと兄上が当主を継げばもっと栄えるだろう…」
嘘。を言っているようには見えなかった。
「信行殿が自ら継ぐ意志はないと」
「はい、私には国を守るのは荷が重過ぎます。それに、兄上を差し置いてそんなこと…出来ないですよ」
…可笑しいな。確か、信長の弟は謀反、戦を起こし、信長に敗れたはずではなかったか。
「随分と慕っているのだな」
「当たり前です。兄上はこんな出来損ないの私を必要としてくれるので」
今は、まだ。言う通りに信じるか。戦が一つなくなるのと変わらないのは全く違うからな。
「そうか、ならばもっとも近くで信長を支えてやるといい」
そう言うと、信行殿ははい!と笑顔で返事をした。
信行殿と甘味処へ来た。
「信行殿はどんな世を望むのだ」
「私ですか…、私は戦がなくなる世を望みます。みんな、無理だって言いますけどね」
戦がなくなる世か。
「来るぞ、まあ私らが生きているうちは難しいが。
戦もなくなり、好きに日本何処へでも行ける。身分もない、婚姻も自由だ」
「自由…?」
「私のような、政略結婚は自由とは言わない。好きな者同士結婚が出来る。信行殿はどうだろう」
信行殿は少し考えると、好きな者…と呟いてぽっと顔を赤くした。いや、中々の初心だな。
「ふ、信行殿にはそんな女子が居るのか」
「えっと…、そ、そんな…」
ほー、おじさんそういう話好きだよ〜。いいね〜、青春だね〜。
俺は、心は47歳だよ。老けたなぁ、心が。
「ほう、それは中々興味があるな」
「そんな面白くないですよ…。まず私のことを男だと意識してくれてるのか…。
あ、A様はそんな人は居たんですか?」
「私か…いないな。今のところは」
____________________________
「帰蝶様。花果にございます」
「なんだ」
少し、俺を恐れた目で見てきた花果。震えた口先から出たものはそんなに驚くことではなかった。
「織田信秀様が床に伏した。と…」
「そうか。それは災難だな」
「貴方は、何者なのですか…?まさか毒でも盛ったわけではないでしょう」
毒なんか盛ってねえよ。恨みなんてないし。
「俺は、ただの斎藤道三の息子だ。それ以上でもそれ以下でもない」
前世の記憶をもって、過去に生まれ変わった、なんて言っても通じないだろうし、な。
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愛之助(プロフ) - 安奈さん» その件は存じております、「乱」と記されていたこともあったので初期は乱丸としていますご了承ください。指摘が多かったので、後編の方では蘭丸に変更しました。ご心配ありがとうございます。 (2月21日 19時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
安奈(プロフ) - 森蘭丸のらんは花の蘭だったはずです。ご確認下さい。 (2月21日 19時) (レス) @page17 id: dd0f887606 (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗@別垢(プロフ) - うふふ…腐腐腐…尊い…腐腐腐腐腐… (2月10日 21時) (レス) @page37 id: 3c14d32f91 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - あっ文の構成とか何までクソ好きです……オリジナル作品でこんなに良い作品初めて出会いました有難うございます(土下座) (1月21日 17時) (レス) id: 006bd7f18c (このIDを非表示/違反報告)
愛之助(プロフ) - 容音さん» 自分のプロフ見てみたら、通知出来ていないですかね…?説明が下手で申し訳ないです! (2021年5月17日 0時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大手裏剣 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/10edaabbfe1/
作成日時:2018年6月26日 14時