３０話．巧みな嘘 ページ32
．
総統室は軍事基地の最上階、一番奥にある
そこへ立ち入ることが出来るのは
総統から絶大な信頼を寄せられている幹部のみ
それ以外が入室することは固く禁じられている
「(…ってそんなの嘘やんけ！！)」
一体誰がそんな噂を流したんだと眉を寄せた
実際、総統室に入室できるのは
幹部だけなのだが今回は例外中の例外である
グ「A、お前はトントンを知っているな」
「いえ、知りません」
それこの間も聞いたでしょ、と思いながら
否定すればパソコンの画面をこちらに向けてきた
「(あー、やらかした…)」
そこに映っているのは引き出しを
懐中電灯で照らしながら漁っているAの姿
グ「もう一度聞く、トントンを知ってるな？」
これが最後のチャンスだと言わんばかり
「(どうすればいいですかね…？)」
困った末にトントンに視線を送る
ト『…なんとか否定できんか？』
懇願するような顔をされたら
なんとか足掻こうと思うのが善人の性というもの
「…知っています、嘘をついてすみません」
ト『えぇ！？ハッキリ言うんか！？』
ここからですよ、という風に微笑する
グ「どういう関係だ、そして何故嘘を吐いた」
頭の良い人を騙すには
信憑性のあるリアルな嘘を吐かなきゃいけない
ここからが本番だ、頭をフル回転させよう
「学生の頃に話しかけられて知り合いました」
グ「なるほど、チーノと同じか」
士官学校に通っている生徒で
トントンに話しかけられた人は複数いるらしい
ということはこの話が一番疑われないはず
グ「では何故嘘を吐いて隠したんだ？」
「トントンさんの話が禁句だと聞いたので…」
実際トントンが事故に合ってから
そのことを話すのは禁止だと先輩に言われていた
「無闇に話すと機嫌を損ねるのでは…と思って」
トントンの話になったときの空気は最悪だ
一般兵の少女が圧に萎縮して
周りの機嫌を伺ったとしても何ら不思議ではない
グ「そうか、それはすまなかった」
「いえ、隠していた私が悪いんです」
申し訳なさそうに下を向けば完璧だ
ロ「…聞きたいことがあんねんけど」
「なんでしょうか」
ボロを出さないためにも
これ以上の質問は控えてほしいと眉を寄せる
ロ「昨日の夜、トントンの部屋で何してたん」
絶対に聞かれると思っていた質問がきた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1065人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るか(プロフ) - こんな神みたいな小説をありがとうございますすごく泣けました！！！！ (2022年10月26日 21時) (
レス) @page44 id: 8ee7b90455 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - ちょっと待って！？貴方様だったんですか！？なーちゃん！？…崇めます。うちの大好きな小説の作者様だったなんて…。この小説本当に好きです！！何回も読みました…！！tn氏の小説もっとください…。←(tn氏最推しの人) (2021年6月12日 3時) (レス) id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)
moz(プロフ) - 何周目か分かんないくらい読み込んでおります…！途中ヒヤヒヤするところで心拍数がぶち上がりました。神作者様の他の作品も読んできます〜！（追記ですがこの作品によく似た作品がありました。タイトルは 幽体離脱してた件 です。気のせいだったらすみません。） (2021年1月22日 18時) (レス) id: db48de9f7d (このIDを非表示/違反報告)
ハト - 神 (2020年12月8日 3時) (レス) id: f0bbbc5cbd (このIDを非表示/違反報告)
赤月奏楽 - 完結おめでとうございます！まだ二話くらいしか出ていなかった頃にこの作品を見つけて、ふと思い出してぶっ飛んできたら完結してました。途中はどうなるかとこちらもヒヤヒヤしましたが、最高の作品でした！神様ですね。神作品をありがとうございました！ (2020年11月22日 11時) (レス) id: 0a13c144ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なんとなく
| 作成日時：2020年8月9日 17時
