２８話．ご対面 ページ30
．
真っ昼間、またポルターガイストで目を覚ます
「まじで次やったら塩撒き散らしますから」
ト『そんなもん効かんて、幽霊やあるまいし』
幽霊みたいなもんでしょ、とツッコミを入れた
ト『ほら、着替えて行くで』
眠い目を擦り軍服を手に取ると
いつもよりノロノロとした動作で着替え終わる
鏡の前に立ち、襟を整えたところで覚醒した
ト『掃除用具も忘れずにな』
「はい」
掃除をすると口から出任せを言うのだから
使う用具をひと通り持ってそれっぽくしなければ
ホウキとバケツ、雑巾を持って部屋を出る
友人「お、もしかしてA掃除当番？」
「そう、今から行ってくる」
少々心が痛むが友人にも容易く嘘を吐いた
しばらく歩いて医務室の前に立つと
扉を数回ノックして開け、物静かに入っていく
ペ「あれ、もう掃除の時間？」
「本当はまだですが早めに終わらたいので」
テキトーな理由をこじ付けて勝手に掃除を始めた
ペ神は数分程カルテを確認していたが
重傷者の手術をするようで白衣を脱ぎ立ち上がる
ペ「２、３時間位は戻って来ないから」
「はい、わかりました」
その間しっかり掃除をすると言い
早足で焦り気味に医務室を出るペ神を見送った
今日はラッキーな事に医療班の人もあまり居ない
「(今がチャンス！)」
消毒液を床にかけ新品の雑巾で拭きながら
一番奥のベッドに近付くと下から中を覗き込んだ
ト『ここに俺がおる』
頭上からトントンの声がして
その言葉に頷くと音を立てないように潜っていく
カーテンの中に入り、ゆっくり立ち上がった
「トントンさんだ…」
ト『せやで』
清潔感のある真っ白なベッドに
生気を全く感じない生身のトントンが寝ている
恐る恐る近付いてみるとかなりやつれていた
「うわ…」
点滴で栄養を補っているようだが
やはりそれにも限界があるんだと思い知らされる
ト『俺、久しぶり見たわ』
「てかこれ細すぎます、大丈夫ですか？」
幽体のトントンと違って
実体は痩せ細り握っただけで折れてしまいそう
「…でも触れてる」
手を伸ばしてトントンの頬に触れた
「すごい、トントンさんに触れてますよ」
すり抜けるだけだったトントンに触れている
ト『あんま触らんといて、なんか恥ずいから』
「はーい」
トントンは照れてそっぽを向いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1065人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るか(プロフ) - こんな神みたいな小説をありがとうございますすごく泣けました！！！！ (2022年10月26日 21時) (
レス) @page44 id: 8ee7b90455 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - ちょっと待って！？貴方様だったんですか！？なーちゃん！？…崇めます。うちの大好きな小説の作者様だったなんて…。この小説本当に好きです！！何回も読みました…！！tn氏の小説もっとください…。←(tn氏最推しの人) (2021年6月12日 3時) (レス) id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)
moz(プロフ) - 何周目か分かんないくらい読み込んでおります…！途中ヒヤヒヤするところで心拍数がぶち上がりました。神作者様の他の作品も読んできます〜！（追記ですがこの作品によく似た作品がありました。タイトルは 幽体離脱してた件 です。気のせいだったらすみません。） (2021年1月22日 18時) (レス) id: db48de9f7d (このIDを非表示/違反報告)
ハト - 神 (2020年12月8日 3時) (レス) id: f0bbbc5cbd (このIDを非表示/違反報告)
赤月奏楽 - 完結おめでとうございます！まだ二話くらいしか出ていなかった頃にこの作品を見つけて、ふと思い出してぶっ飛んできたら完結してました。途中はどうなるかとこちらもヒヤヒヤしましたが、最高の作品でした！神様ですね。神作品をありがとうございました！ (2020年11月22日 11時) (レス) id: 0a13c144ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なんとなく
| 作成日時：2020年8月9日 17時
