０話．共闘 ページ2
．
鼓膜を貫く爆発音、絶えず鳴り響く銃声
舞い上がった土を吸い込んで咳き込むと
“その人”の手が体をすり抜けて腹から飛び出た
「…もしかして背中摩ろうとしました？」
後ろを振り向けば申し訳なさそうに笑っている
「ホラーなんで早く手を抜いてください」
苦笑しながら謝って突き出ている手を引き抜いた
軍人「A、誰と話してんの？」
「…すみません、独り言なので忘れてください」
そういえば他の人には見えないんだと思い
慌てて誤魔化してその場から駆け出し前に出る
軍人「おい！そこから先は危険区域やぞ！！」
先輩の言う事を無視して突っ走り
危険区域である敵陣のど真ん中に一人で侵入した
気を抜いていた敵兵が驚愕した表情を向けてくる
素早く手榴弾を投げて攻撃を封じ
支給されたライフルを構えて乱雑に撃ちまくった
『何してんねん、数打ちゃ当たる精神か？』
「その通りです」
突如聞こえてきた声に驚きもせず
慣れた様子で返事をしてライフルに弾を込める
岩陰に隠れると軍用ナイフが近くに落ちていた
『それええやん、貰ったら？』
「そうします」
手に取ってみると使い古されていて
薄らと血が付着しており、少し錆び付いている
『かなり古いけど案外手に馴染むんちゃう？』
「だけど切れ味は保証できないですよ」
刃は錆びているし欠けているので
敵兵を一発で軽やかに仕留めるのは無理そうだ
『そんくらいのハンデ、どうってことないわ』
「うわ、自信すごいですね」
目の前をふよふよしている“その人”は
自信満々なドヤ顔で錆びたナイフを眺めている
しかし、実力者であることには違いない
『お喋りしてたら敵兵が近付いて来とるで』
岩陰からライフルだけ出して何度も引き金を引く
『おい、当たってなさすぎて弾の無駄遣いや』
「うるっさいな、じゃあ代わってくださいよ」
苛立って荒い口調で言えば
“その人”は困ったように顔を俯かせてしまった
「いや、代われるでしょ」
わざとらしい不可能アピールは止めてください
「またお願いします」
『しゃあないな』
実は乗り気なくせに何を言っているんだ
「トントンさん、力を貸してください」
すぅ、と水が浸透するような感覚が体に広がる
ト『派手に暴れるで、相棒』
トントンはそう言い、口角を吊り上げた
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るか(プロフ) - こんな神みたいな小説をありがとうございますすごく泣けました！！！！ (2022年10月26日 21時) (
レス) @page44 id: 8ee7b90455 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - ちょっと待って！？貴方様だったんですか！？なーちゃん！？…崇めます。うちの大好きな小説の作者様だったなんて…。この小説本当に好きです！！何回も読みました…！！tn氏の小説もっとください…。←(tn氏最推しの人) (2021年6月12日 3時) (レス) id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)
moz(プロフ) - 何周目か分かんないくらい読み込んでおります…！途中ヒヤヒヤするところで心拍数がぶち上がりました。神作者様の他の作品も読んできます〜！（追記ですがこの作品によく似た作品がありました。タイトルは 幽体離脱してた件 です。気のせいだったらすみません。） (2021年1月22日 18時) (レス) id: db48de9f7d (このIDを非表示/違反報告)
ハト - 神 (2020年12月8日 3時) (レス) id: f0bbbc5cbd (このIDを非表示/違反報告)
赤月奏楽 - 完結おめでとうございます！まだ二話くらいしか出ていなかった頃にこの作品を見つけて、ふと思い出してぶっ飛んできたら完結してました。途中はどうなるかとこちらもヒヤヒヤしましたが、最高の作品でした！神様ですね。神作品をありがとうございました！ (2020年11月22日 11時) (レス) id: 0a13c144ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なんとなく
| 作成日時：2020年8月9日 17時
