【小説】ゴミのような、二個目の僕らの世界。【本編】

86_瀬戸七夜【世界で一番強くなりたい】 ページ43

(内通者だと一部から確信されている今、俺はどう動いたらええんか...
下手な動きをすればそれこそ今普通に接してくれる子からも疑われかねへん。
まぁ現状はできるかぎり平常を装ってなんも触れんようにすんのが最善なんやろな)

そう悶々とリビングの壁際で寛ぎながら考えていると聴き慣れた声が響く

「みんな、集まってくれない？」

浮ついた意識をフッと声のした方へ寄せると零が真剣な顔立ちでそこに立っていた

少し周りを見渡せば気付かなかったがそこそこ人がいたらしく皆、零の方へ近寄る
同時に部屋にいた人もそろそろと出てきてリビングに固まった。

皆揃ったのを確認すると再度零は事を話し始めた

▽▼説明部分省略▼▽

端的に言えば�ここから脱出するか�という提案だった。
それぞれが反応を見せる中、俺は何も反応を見せず...否、反応することができなかったのだ
ただ話の流れを聞き誰にも悟られぬよう焦りを最小限に抑え冷や汗を流す。

(...俺としてはこの子らに危害を加えるつもりはないけど、立場っちゅーもんもある
　すまんな...お前らを脱出させてやることは出来ん)

そう、自分はあくまでもココの内通者なのだ。
自分が便乗することは出来ない...だがこの子たちに少し期待もしてしまう

ダメだ、それくらいは分かっているだが、分かっているからこそか罪悪感も浮かぶ
ただ与えられた仕事を全うするだけのことも出来なくなるような余計な考えを持ってしまう。
そんな自分に嫌気がさしてくる

これはすぐにでも監視員に連絡しなくてはならないだろう。

「ホンマ...ごめんなぁ...」

そう掠れた声でそっと呟く

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