【小説】ゴミのような、二個目の僕らの世界。【本編】

67_天雪 彩芽【世界を愛したい】 ページ21

結局、終わりよければ全て良しとはこのことなのかもしれない。まさかパンを取りに人がいないと思ったキッチンに行ったら人が居て、内通者が居るとの情報も入って、ついでという感じでボタンを貰うことになるなんて。
　──まあ、どれも私にとって不利益になるものでは無いけれど。と、言うか、私は誰とも関わらないタイプだから、誰が怪しいとかは分からない。寧ろ、私が怪しまれてるという可能性は……無いと思いたい。

「ボタン貰ったし、首元の解れを直してあげましょうか」

　ボタンはあるけど、どれも微妙だったから少し嬉しい。当初は受け取る気じゃなかった……けど、「可愛くなる」っていう言葉を聞いて気が変わった。改めて見ると、ほんとに可愛くなりそうなデザイン。と、いうわけで、リーベの服のボタンを縫い直すことにした。

「終わったらどうしようかしら？ やることが無いから寝るのもいいかもしれないわね。」

　縫いながら考えていると、ふとお腹がなる。……ああ、わざわざキッチンへ行った意図をようやく思い出したわ。パンが無かったから取りに行っただけ。はぁ、なんて馬鹿なのよ。
　別に美味しい訳では無いけど、不味い訳でもない。調理次第ってところね。まぁ、空腹を満たすだけなら二口程度で十分。ご飯を手短に済ませ、裁縫の続きをし始めた。

「これからは、ちゃんと他の人とのコミュニケーションをした方がいい……かもしれない。」

　と、言ったようなことを考えていると、いつの間にか裁縫が終わったようだ。そして、時間を潰すために、風呂に入ることにした。傷にしみるから嫌いなんだけど。

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