4話 ページ5
「アンタ、すっげー機械みたい」
そう言ってポツリと私に聞こえる声で言い放ったのは隣の椅子に座ってる羽宮様だった。ビールをちびたび飲み、バイキングで取ってきたであろうお肉をフォークで刺しながらちらりと私を見て言う。初めて言われたその言葉に少し動揺してしまった。
横目に入った佐野様はウンウン、とケーキを頬張りながら頷いてた。
「あははっ、初めて言われました。今日は接待ですから」
「ンだよそれ、つまんねぇじゃん」
「でも嬉しいです、わたしを気にかけてくださって」
「なっ…気にかけてねぇから!!肉!!」
微笑むと羽宮様は照れたように空になったお皿を差し出してきた。なんだか弟みたいで可愛らしいなとお客様にはとてもではないが言えないなぁと思いながらその皿を受け取った。
その様子を周りの方達はにやにやと笑いながら観察していた。
羽宮様のお肉、どれくらいいるかなと思いながらお皿を持ってバイキングで色々な料理を見ながら思う。こちらも美味しそう、あ、でも好きなのあるかしらと一人考えてたところを誰かが話しかけてきた。
「今日は来てくれてありがとうございます。幹事の九井一です。よろしく」
「まあ、すみません!わたしったらご挨拶も行かずに…」
「あーいいです。受付と話してて今来たんで」
「お気遣い感謝します、申し遅れました。ララ代表のAと申します」
「ン」
お皿を空いてるスペースに一旦置いて胸元からPRADAの名刺ケースを出す。名刺を渡そうとそれを開き渡した。
交換で頂いた名刺には「TK&KO 会長」と書かれていて凄いなぁと思いながらその名刺を丁寧にしまった。
「時間30分前なったらまた声掛けてください、あっちにいるんで」
「畏まりました。楽しんでくださまし」
深くお辞儀をすると手を挙げて元の席に戻って行った。
あの人、すごい賢そうだから無礼のないように気をつけないと。そう思い羽宮様のお皿を取って思った。
あ、あのお肉美味しそう。
私の好みだが気に入ってくれそうだ。トングでそれを掴んで持って行った。
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作者名:み | 作成日時:2025年7月16日 13時


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