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10話 ページ11

「九井様、30分前です」
「おう、延長もらった?」
「はい、いただきました」
「多分幹部だけだろ?じゃーとりあえず基本料金だけ払うわ」

と、効率的にお会計だけ済ましていく。ひとつ分かった事があるのだが灰谷様が言っていた守銭奴は伊達にならないらしく1つ1つの金を説明させられた。今回わたしは九井様からの指名な為その指名料も説明した(予約時にも説明した)ら、やっぱアンタすげーなと妙に感心していた。

お会計も済ませたことだしパウダールームに1回行こうとしたら九井様に呼び止められ、座っていた椅子にもう1回座らされ何を言われるのかと内心ドキドキして向き合った。


「オマエ、独立は興味ねえ?」
「・・・少なくとも、お酒の場で話される内容では無いと思います」
「酒の場だからこそなんだわ、
初期出資は3000万、オレが全部出資して株の30パーセントはアンタ。利益が出たら5年で買い戻してくれて構わない。経営主導もアンタに渡す」
「随分出資が少ないのですね?」
「・・・アンタに金の信用はしてねえ。もっと出資して欲しいなら行動で示せ。億は出す」
「お言葉ですが金の信用がない立ち上げにオーナーとなるのはリスクが大きい筈ですが?」
「業績を見るにアンタは売れる」
「もう既に売れていますから。
・・・まあ私も立ち上げようと思っていたので丁度いいですね。」


酔っているのだろうか?
とりあえずこんな話をしていたら時間の為一旦保留としてLINEを交換し別れた。マジで自分の利益しか考えてないなあの人と思い九井様の後ろ姿をぼんやり眺める。まあ貪欲にならないと金が生まれない世界ですから仕方がないですよね、スポンサーだったらいいのに、でもそんな一部の金なんて求めてないんだろうな。怖。







時間になり挨拶をしようとするが一人にとめられる。乾様というお方らしい。挨拶はいらない、このまま二次会直行だから帰るコンパニオンは帰っていい。そう言われ頭を抱える。乾様の後ろを見るともう既に何人か居なくなっておりこれでは挨拶も出来ないなと思った。


「わかりました、では少しだけキャストと話してきますのでお先に行っててください」
「道わかるか?」
「わからなかったら聞けばいいですから」


後ろにキャスト達が集まるのがわかりそれでは、と乾様に深く礼をして背中を向けた。




「延長は取れなかった?」
「はい、リーダー。すみません・・・」
「仕方ないわよ。ドライバーにも言ってあるから先に戻ってなさい」
「はい。お疲れ様でした」

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作者名: | 作成日時:2025年7月16日 13時

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