揺れる気持ち〈うみげん〉 (ページ24)

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＊海人side

戻ってきたらAはすやすやと寝息をたてていた

俺はそーっと額に買ってきた冷えピタを貼った

「っつめた、」

「あ、ごめん、起こしちゃった」

そう言うと蕩けそうな程柔らかい笑顔でありがとうと言った

「ゼリーとか買ってきたんだけど食べれる？」

そう言うと食べたい！と言う

幼い子供のようで少し嬉しかった

俺はリビングからさっき買ってきたゼリーをAのところへと持っていった

Aは、ぺり、と上蓋を剥いでゼリーを口へと運ぶ

「どう、食べれそう？」

そう聞くとゼリーを食べながらうんうんと首を縦に振った

すると逆にAがこめかみを抑えて険しい顔をした

「どうした！？」

慌ててそう聞くとAはちらりとこちらを見て

「頭振ったから頭痛が、、」

なんて言うもんだから可笑しくて笑ってしまった

「相変わらずあほだな」

「あほじゃないよ！」

なんてこの馬鹿げたやり取りはとても心地いいし、高校のときを思い出して懐かしい気持ちに浸る

するとベッド横のテーブルに置かれているスマホが鳴った

さっき俺が置いたAのスマホだ

画面には' 元太 'と表示されている

「出ていいよ」

俺はスマホを指さした

「ごめんね！」

そう言ってAは申し訳なさそうにスマホに手を伸ばした

「どうしたの？」

「えー！ごめんね！気づかなかった！」

「ちょっと体調崩しちゃって、」

「いやいや大丈夫だよ！」

相手の声は聞こえないがなんとなくAの言葉からどんなことを話しているかわかるような気がする

恐らく相手は家に来たがっているのだろう

とんとん、と布団越しにAの足を叩いた

電話をしながらもそれに気づきAはこちらに目線を送る

「俺の事気にしないで、来てもいーよ」

「え？」

ビックリしたのか声に出て電話越しの相手も戸惑っているのがわかる

俺はAからスマホを奪い取った

「おいで、住所送っとくから」

そう言って相手の返答を待たずに俺は通話を切った

そしてすぐに現在地を送った

「ちょっと！？」

慌てた顔をするが俺は遮る

「会いたいって顔に書いてあるよ。弱ってる時くらい素直になれば？」