第一話 ページ1
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ひどく老朽化した屋敷を月明かりがうっすらと照らす。
その二階の
｢なん、なんだよ、これ｣
思わず口から漏れたものはあまりにか細く、声にもならない。もはや吐息のようだ。喉が張り付いて、上手く声が出ない。
外傷はないが、頭が酷く痛む。呼吸をするだけで金槌で殴られているかのようにがんがんと響く。
───･･･どうして、こうなった?
───･･･ここはどこだ?
───･･･家族は無事なのか?
───･･･おれは、どうなるんだ?
分からないことが多すぎる。しかし、今のこの状況を懇切丁寧に教えてくれる者などいる筈もない。男は自然と息を潜めながら現状を理解しようと試みた。
今日は神奈月の、確か十一日。
明日で十四歳になる妹の為に髪飾りでも買おうと、隣の栄えた町まで行っていた筈。そこで妹が喜びそうなものを探すのに少し時間がかかって、日が傾き始めた頃、足早に帰路に就いたのだ。
･･･そうだ。妹の誕生日。
男は懐に手を伸ばす。確かここにべっ甲でできた
だがしかし、懐をいくら探ろうと簪は見つからなかった。どこかに落としたのかもしれない。男は簪をなくした事に悄然としたが、徐々に意識がはっきりしていくのを感じ、再び考え始める。
町の外れを歩いている途中、こぢんまりとした民家の前を通った。するとそこの主人らしき老翁に｢こんな時間に出歩いちゃいけんよお。化け物が出るきに。泊まっていき｣と、声をかけられた。
あまり聞き慣れない訛りに戸惑いつつも、｢そこまで遠くはないですから｣と言って断った。
───･･･問題は。問題はここからだ。
民家を過ぎてしばらく歩いていると、辺りは少しずつ暗くなっていった。帰りが遅いと心配されてしまう。男は歩行を速め、急いで家を目指した。そのとき。
｢ぅわ、!?｣
突然、顔に無数の細い糸が這った。恐らく蜘蛛の巣にかかった。払っても払ってもむず痒い感覚があり不快だったのを覚えている。幼い頃から虫だけはどうも苦手だった。男の体に寒気が走る。どうにかして糸を払おうと、男は一心不乱に首を左右に振った。すると男の視界に白い何かが映った気がして男は動きを止め、顔を上げた。
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はちすか(プロフ) - 莓さん» コメントありがとうございます。わあああああありがとうございます！励みになります;; これからゆるゆると更新していく予定なので、また読んで頂けると嬉しいです！ (2023年3月10日 22時) (
レス) id: 5f02774b91 (このIDを非表示/違反報告)
莓 - うああああああ好きです！！！好きです！！！！設定とか全部好きです！！次の話楽しみにしてます！！！ (2023年2月20日 7時) (レス) id: fd5e919b08 (このIDを非表示/違反報告)
はちすか(プロフ) - アップルパイの生地さん» こちらの作品にもコメントして頂きありがとうございます。そう言って頂けて光栄です･･･！ 頑張れます。アップルパイの生地 様もお身体にお気をつけて、学校頑張ってくださいね (2022年7月18日 23時) (レス) id: 89de0f7806 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイの生地 - ふぇ...。どの作品もすごいです...。学校頑張れます！ (2022年7月18日 22時) (レス) @page3 id: 16abac1544 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちすか | 作成日時：2021年11月2日 16時
