起きたら翼が生えてた【MHA】 (ページ42)

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番外編【雄英 / 緑谷】ページ42

緑谷side

「...なにも、聞かないの？」

『え？何を？』

個性把握テストが終わった数日後、たまたま帰りの電車が同じになった彼女に何故かそう聞いていた。

いや、何聞いちゃってるんだよ！？

「こ、個性のこと...」

あーもう僕の馬鹿。

何故か彼女の前ではスルスルと言葉が出てしまうのだ。

なんか安心するっていうか、なんというか。

『あー、あのすっごい個性のことか』

「う、うん...」

暫くの沈黙。

聞こえるのは電車の進む音だけ。

でも、その沈黙は割とすぐに破られた。

『緑谷くんが話さないなら聞かないよ』

「え...」

『人には色々話したくないこととか...秘密だってあるだろうし』

現に私もあるからね、と言って遠くを見つめる羽平さん。

羽平さんの、秘密...。

『でもまあ、いつかその秘密を話せる程の人が現れたらいいね』

にこ、と笑う羽平さん。

その笑顔は、本当に僕のことを考えて言ってくれているんだと感じ取れてなんだか嬉しかった。

羽平さんは転校してきた時から僕に話しかけてくれて。

お姉さんがいたらこんな感じなのかな...なんて。

「...そうだね。

ありがとう、羽平さん」

いつかきっと、【その時】が来たら────

羽平さんにも話すから。