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「おかえりなさい!会議お疲れ様、ゾム」
「Aー……」
むぎゅうとAを抱き寄せて、ようやく息を吐いた。
あの息苦しい会議は最悪だった。Aはもうおれのなのに、諦めの悪い男が多い。
いっそのこと仕事を全て投げ捨てて、何処か遠い国にでも移住してしまおうか。おれ一人抜けたくらい、代わりはいくらでもいるだろう。戦争だって、余程のことがない限りはもう起こらない。おれがこの国にいる意味なんて、もう無いんだから。
「ゾム、どうしたの?」
「A、どっか引っ越さない?マイホーム建てよ?もうおれこんな国嫌やわ……」
「え、なに?本当にどうしたの?」
ずるずると引っついたままリビングに移動する。Aは冗談だと思ったのか、クスリと笑った。
「次の仕事、一泊二日なんやって。その間Aと離れるのが心配なんよ。ここ、男ばっかりやし……」
「えぇ、大丈夫だよ?寂しいけど、ゾムのお仕事邪魔しちゃ悪いし」
「おれは仕事よりAの方が大事なの。それよりもAが襲われないか心配で心配で……」
はぁあ、と大きなため息を吐きながら、ソファに座ってAを撫で回す。うん、今日も可愛い。
Aには指一本触れさせない。そのためにはどうすればいいのかを、早急に考えなければならない。
おれが留守にする一泊二日の間、Aをどこに隠しておくか。まず此処には置いていけない。前に二人で住んでいた隠れ家もあるが、オスマンに住所を知られているため安全性に欠ける。となると、他の隠れ家に連れて行くしかないか?……物は揃ってないし、最近は掃除にも行っていない。環境はとても良いとは言えない。
あぁ、考え過ぎか。頭と胃が痛くなってきた。
「……よし、今夜は外食行こうA。何食べたい?」
「突然だね?えぇと、じゃあ、オムライスがいいな」
「オムライスね。美味い店知っとるから二人きりで行こうな」
「二人きりって、ゾムと私しか居ないのに」
Aは「今日のゾムは変なこと言うね」とまたクスクス笑った。その小さな笑い声さえも愛しくて、一音も聞き逃せない。
そうだ、おれとAしか居ない。他の奴らになんて干渉されたくない。それにきっとAはおれを選んでくれる。おれがそうするようにしたんだから。
「先に風呂入って行こっか。今日は飲みたい気分」
「オムライスのお店で飲むの?」
「……帰ってから飲み直しやな」
だよね、なんて笑いながら風呂場に向かうAを見つめた。
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影猫(プロフ) - トウマさん» ありがとうございます!私もヤンデレ好きです(笑)今度ガチもんのヤンデレも書いてみたいです。更新頑張ります……! (2018年3月8日 3時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
トウマ(プロフ) - 影猫さんのゾさんがめちゃくちゃ好きです…ヤンデレが大好物なので()更新頑張ってください! (2018年3月7日 22時) (レス) id: a615484a47 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるそーす(プロフ) - 影猫さん» 了解ですっ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 7e83d7a6cd (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - きゃらめるそーすさん» コメントありがとうございます。ついったでフォロー申請送って頂いた方でしょうか?誤操作で蹴ってしまったので、申し訳ございませんがもう一度送って頂けないでしょうかm(_ _)m (2018年2月23日 13時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるそーす(プロフ) - 影猫様のゾム氏がかっこよすぎて禿げそうになるぐらい悶えてますwこれからも頑張ってくださいっ!応援してますっ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 7e83d7a6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影猫 | 作成日時:2018年1月8日 18時