【wrwrd】愛してその醜を忘る [3]【Zm】

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｢ゾムが料理するなんてちょっと意外だけど、俺よりは上手いんだろなー｣

｢シャオさんのが酷すぎるんやって……｣


シャオロンは｢あ、やっぱり？｣と笑って買い物カゴにまた一つ酒瓶を入れた。
そういえば前にシャオロンとコネシマで料理対決していたっけ。あれはなかなか面白かった。

……というか、シャオロンはおれがAを連れてきたことを知らないのか？大分噂になっているとトントンから聞いたものだから、てっきりシャオロンも知っているのかと思った。


たわいもない話をしながらレジに向かう途中、お菓子コーナーを通った。
確かAは甘い物、特にチョコが好きだったはずだ。何か買って帰ってやろう。ええと、どれにしたらいいんだろうか……。


｢あ、これ新作のやつ｣

｢そうなん？｣

｢そう、昨日オスマンが美味しいって言ってた｣


なるほど、オスマンがそう言っていたなら間違いないか。一つ買って帰ろう。

何でもないような顔でチョコを買い物カゴに入れ、レジに出す。ふとシャオロンに何か言われたりしないかと思ったが、新作のチョコ一つ買うくらい、別におかしな事でもないだろう。


｢そういえばさ、彼女とは順調？｣

｢は？｣


何でコイツが……とシャオロンの顔を見るも、彼の表情はいつもと変わらない。口調だって、ついでに聞いてみたくらいの軽さだった。

噂で聞いたのか？と一人考えながらレジの店員に支払いのカードを渡した。

……まてよ、何かを忘れている気がする。
前にシャオロンに会った場所は何処だ？何処かで顔を合わせたような……


｢ほら、この前シッマと俺で食堂行った時にさ……いやぁあん時はデートの邪魔してごめんな？｣

(確かにそんなこともあったような……完全に忘れてた)


忘れてたとは言わず、｢別にええよ｣とだけ返しておいた。
支払いを済ませ、買ったものを袋に詰めていく。


｢んで、彼女とはどーなん？えらい綺麗な目してたけど……｣


綺麗な目。そう言うシャオロンも、他から見れば“綺麗な目”だった。

まさかAが宝石眼だと気付いていないのか？そんなことがあるとも思えないのだが……。


｢……いや、順調やで。そりゃあもうラブラブで、今日だってフェ｣
｢そこまで聞いてないって！！まぁ、ゾムの彼女に手出すつもりはないけどさ｣


またな、ちゃんと会議には出席しろよ。なんて言ってシャオロンは先に店を出ていった。

……手を出さない、とは言ってないもんな。念の為警戒しなくては。


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