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「あ。もう出たんや、今日は早いな」
「……そ、そうかな」
髪を拭きながらリビングに入ってきたAに声をかけ、手入れしていた短剣をベルトに戻した。
立ち上がってキッチンに向かい、Aの様子を伺いながら流しで手を洗う。
下ろした髪はまだ少し濡れていて、先程の事もあってか色っぽく見えた。表情までは見えなかったが、髪の隙間から見えた伏せた目とほんのり赤い頬に、思わずどきりとしたのだ。
すーっと自然に近付き、さり気なく隣に座る。
自分と同じシャンプーの匂いに混じった独特な甘い香り。……風呂に入って少しは落ち着いたみたいだけど、おれにはバレバレだ。本当はまだ物足りないのだろう。
「A?腹は減ってる?」
「……ううん、別に」
「そぉか……おれのでお腹いっぱいなのかぁ」
「そ、そんなこと言ってない!ゾムのばか!!」
顔を真っ赤にしたAはまた逃げるように寝室へ行ってしまった。
少しからかっただけなのに、恥ずかしがり屋さんだなぁ。
さてさて、Aはおれのタンパク質ではなく鉄分を摂取した方が良いだろうし、その辺も考えて夕食を作るとしようか。買い物に行かないと、冷蔵庫には大したもの入っていないし。
一応Aに何が食べたいか聞いてみようか。
「A?今日の夕食何食べたい?」
「…………」
寝室を覗いて問いかけてみるが、返事はない。
今度はベッドの上で膝を抱えていた。そんな姿も可愛いんだけど、返事は欲しい。
自分もベッドに腰掛け、Aの頭をそっと撫でる。
「怒ってんのかな」と小さく呟くと、聞こえていたのか首を横に振るA。どうしたらいいのか戸惑い、ひとまず「ちゅーする?」と続けて言うも、先程同様首を横に振られた。うん、振られた。
「どうして顔合わせてくれんの?やっぱ怒ってるん?それとも体調悪い?」
「……だって、」
恥ずかしい、そう呟いたAは耳まで真っ赤にしていた。
そういう反応が唆るのだけど……彼女には言わないでおこう。
何度か身体も重ねているのに、後になってこんなに恥ずかしがるものなのか。やっぱあれか、入れられるのと咥えるのは違うのか。女って難しいなぁ……。
「A、夕飯の買い出しは一緒に行く?」
「……ごめん、少し一人にさせて。ご飯の時までに、何とかするから……ごめんねゾム」
「んー、分かった。じゃあ行ってくる」
まあAがそう言うなら、しばらく一人にさせてやった方がいいか。ごめんは要らないけど。
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影猫(プロフ) - トウマさん» ありがとうございます!私もヤンデレ好きです(笑)今度ガチもんのヤンデレも書いてみたいです。更新頑張ります……! (2018年3月8日 3時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
トウマ(プロフ) - 影猫さんのゾさんがめちゃくちゃ好きです…ヤンデレが大好物なので()更新頑張ってください! (2018年3月7日 22時) (レス) id: a615484a47 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるそーす(プロフ) - 影猫さん» 了解ですっ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 7e83d7a6cd (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - きゃらめるそーすさん» コメントありがとうございます。ついったでフォロー申請送って頂いた方でしょうか?誤操作で蹴ってしまったので、申し訳ございませんがもう一度送って頂けないでしょうかm(_ _)m (2018年2月23日 13時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるそーす(プロフ) - 影猫様のゾム氏がかっこよすぎて禿げそうになるぐらい悶えてますwこれからも頑張ってくださいっ!応援してますっ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 7e83d7a6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影猫 | 作成日時:2018年1月8日 18時