【d！】特殊体質：瞬間移動【男主】 (ページ9)

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8 農場へページ9

美術館に滞在すること約2時間。
壁にかかった時計を見てひとらんらんが発言する。

「ごめん、一回農場見に行っても良いかな」

「もうそんな時間っすか」

「ひとらんらん、畑持ってるの？」

「うん。色々植えたりしてて、動物も育ててるんだ」

「俺も一緒に行っていい？」

「もちろん。外に出なきゃいけないんだけど…エレベーターと階段、どっち使う？」

「……階段」

苦々しい顔のAを見てひとらんらんが少し笑った。
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「ここが農場。向こうに馬の厩舎があって、こっちは野菜と果物がメイン」

「こうして見ると壮観やなぁ」

「貰える土地が広かったからね…大変だけどやりがいはあるよ。動物たちも懐いてくれるし、野菜もここの料理人は上手く調理してくれるし」

ひとらんらんの管理する農場は、城から少し歩いた区画にある。
きっちりと整地された様子から彼の性格がうかがい知れるだろう。

「あっちにあるのは何？小屋？」

「あれは温室だね。小さいけど少しだけ花とか育ててみてるんだ」

「おんしつ…」

Aが指差したのは畑から離れたところにあるビニールハウスだった。
故郷には無かったのか不思議そうな顔で眺めている。

「今のところは何も咲いてないから殺風景だけどね。何かしら育ったらAも見に来る？」

「見に行く」

「じゃあ花が咲いたら一番に教えてあげる」

ひとらんらんはそう言ってAの頭を撫でると、畑へと向かって行った。

「Aはこっちで待ちましょ」

「日陰だから涼しいし、らんらんが作業してるのもちゃんと見えるよ」

ショッピとオスマンがAの手を引いて大きな木の下へ歩き出す。
オスマンがどこからともなく取り出した敷物に3人で並んで座り、駄弁りながらひとらんらんの農作業を眺める。

「この木は桜の木でな、春になったらそれはもう綺麗な花が咲くんよ」

「今年の花見はここの畑で採れたもの使った料理出ましたよね。あれ超美味かったな…」

来年はAも一緒に見ようか、と言う2人に、少しだけこわばっていたAの表情がふっとゆるんだ。
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作中の時間軸的には夏〜初秋くらいのイメージですがぼんやりしてるので地味にずれるかも。
あとは天落記ありがとうって感じで生きてますが死んでます。osmn先生ってばお茶目な方だ…罪作りだ…