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『…こんな所かな。大体分かった?…あ、なんか、また涙出てきた』
誰かに今までのことを話すのも、今までの事を一気に思い出すのも初めてだった。目まぐるしく過ぎていってしまった6年間の記憶が、懐かしく悲しくて、涙が止まらない。
「……」
話を初めてからずっと黙ったままの炭治郎を心配していると、彼はゆっくりと口を開いた。
「…ごめんな」
『…なんで炭治郎が謝るの。謝りたいのは私の方なのに』
『…ごめん、ごめんね。守りたかったの』『でも、結局みんなに辛い思いさせちゃった。駄目だよね。私、長女なのに』
泣きながらそう言うと、炭治郎は静かに首を横に振って言った。
「違う。Aはずっと、俺達家族を守ってくれてたんだろう?本当に、ありがとう」
その言葉を聞いた瞬間、私は堰を切ったように声を上げて泣いた。
泣いている間中、炭治郎は何も言わずにただ抱きしめてくれていた。
…どれくらい時間が経っただろうか。ようやく落ち着きを取り戻した頃、私はふと思い出したかのように呟く。
『そうだ。ねぇ、禰豆子は元気?』
「ああ。今はそこの箱の中で寝てるよ」
『そっか。良かった…』
不意に、カリカリと何かを爪で掻いたような音が聞こえてきた。
音のする方を向き、少し待っていると木箱の扉が開き、小さくなった禰豆子が出てきた。目が合うなり、彼女はトタタッと駆け寄ってきたかと思うと、そのまま勢いよく抱きついてくる。
『わっ!びっくりした…久しぶり、禰豆子』
頭を撫でると、嬉しかったのか更に強くギュッと抱きしめてくる彼女を見て、思わず笑みがこぼれてしまう。
…でも、
『…禰豆子も、ごめんね。いっぱい我慢させちゃったよね。』
辛かったに違いない。そんな思いをさせておいて今更だけど、それでもやっぱり謝りたくて仕方がなかった。
すると禰豆子はふるふると首を振り、「むー!」と言ってニコッと微笑んでくれた。
…あ、私が知ってる禰豆子の笑顔と、重なって見えた気がする。きっと気のせいじゃないんだろうな。
『───ありがとう、炭治郎、禰豆子』
『また、家族に会えて嬉しい!』心の底からの本音を言うと、2人は優しく笑って応えてくれた。
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描写だいぶ削りましたが、Aはかなり長い間泣いてます。
過去回想編はとりあえず一段落と言うか終わりです!ここからやっとこさ本格的に進んでいきます。早く戦闘シーン書きたい……
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みこち(プロフ) - せんかさん» 大丈夫です。有難う御座います。 (5月12日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
せんか(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます!!了解しました〜!夢主ちゃんお話にいてもいいですかね…?() (5月12日 20時) (レス) id: 78ee830f0f (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - あの、可能でしたら、炭治郎が鬼の攻撃から玄弥を庇い、見た目其の儘に超絶美少女に変わり、知らずに兄貴の実弥が炭ちゃんに惚れて、事情を知らない兄貴を玄弥が呆れて止める…とか (5月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
玲亜(プロフ) - せんかさん» ありがとうございます!待ってます! (5月11日 20時) (レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
せんか(プロフ) - 玲亜さん» 了解です!!かわいく書けるよう頑張ります!! (5月11日 20時) (レス) id: 78ee830f0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せんか | 作成日時:2023年3月16日 23時