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私はこの場から逃げ出したいはずなのに、そらるさんの腕を振り払えるほどの勇気は出なかった。
というより、振り払いたくなかった…と言うのが正解であろう。
今までそらるさんが弱っている姿は見たことあるが、ここまで弱っているのは見たことがなかった。
「俺が支えなきゃ。」
と、いつだか呟いていた。
年長者ならではの思いなのだろう。
でもその考えがあることでそらるさんは皆に対して甘えなくなった、頼らなくなった。
何かあっても自分達には話さず、相方であるまふ君にさえ話さなくなっていた。
そんなそらるさんが今、私を求めているというのは何年も共に過ごしているなかで初めてのことである。
頼ってくれていると嬉しくなる気持ちと、そらるさんをこんなにも悩ませている大きな問題が迫っていて不安になる気持ちが混ざりに混ざってぐちゃぐちゃになる。
そんなぐちゃぐちゃな心で誰かを励ますことなど出来るはずがない。
だから……
『……1人にはしませんよ。 いつも頼ってくれない年長者さんの頼みですから。』
そらるさんの腕を1度ほどき、振り向いてそらるさんの瞳を見ながら真っ正面から抱き締める。
そして背中を一定のリズムで叩く。
私も幼い頃にこうされたことがあるが、遠い昔のことで誰にされたかは覚えていない。
でもこうされるとその人の存在を1番感じられるし、安心する。
そらるさんにも私の存在を確かめて欲しかった。
貴方は1人じゃないって伝えたかった。
その思いが伝わったのか、そらるさんの瞳からは線がプツリと切れたように涙が溢れ、私の肩を濡らした。
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すだち - 凄く好きです!! (2019年4月17日 22時) (レス) id: 396e5bf3b0 (このIDを非表示/違反報告)
liar(プロフ) - 二度めのコメント失礼します。「そのために一緒に繰らしてるんでしょ」というページ43の文ですが、暮らすではないでしょうか。何度もすみません。面白い作品なので。コメント失礼しました。 (2019年3月29日 19時) (レス) id: 1ccf5e95e0 (このIDを非表示/違反報告)
しらす - 髪の毛ぐしゃぐしゃにするさかたん可愛い。「嫌いじゃないよ」って言われたとたん笑顔になってご飯食べるさかたんも可愛い。結論:どっちの作者も神 (2019年3月26日 8時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
starlily☆(プロフ) - liarさん» liarさん、教えて頂きありがとうございます。すぐに直してきました。 (2019年3月24日 16時) (レス) id: f931f235d1 (このIDを非表示/違反報告)
liar(プロフ) - コメント失礼します。とても面白く読ませていただいていますが、ページ41の「福用していることを」の文ですが、「福用」ではなく「服用」ではないでしょうか。 (2019年3月24日 16時) (レス) id: 1ccf5e95e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュリンク&starlily x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年11月22日 17時