11 ページ11
．
帰り道はもっぱら主に私の恋バナだった。
永瀬くんは人見知りがとけたのか、もしくは私が緊張に値しない人物だとわかったのか、どんどん饒舌になり表情も柔らかくなっていった。
「ラブレターな、夜には書いちゃあかんで。あと、自分の名前は絶対入れんと」
「なんで？」
「夜書くと判断力鈍って重くなりやすいやん。名前はないと不審物やし。
俺昔名無しのめーーっちゃぎっしり書いてあるやつもらったことあるんやけど、怖くて捨ててしもうて」
「えっ酷い……」
「いやいや、あれは見たらわかるって！ガチでヤバかった！」
私の呟きに慌てる永瀬くん。
なんだかかわいくて思わず笑う。
やっぱり、こんなの嘘みたいだ。
永瀬くんと一緒に帰って、こんな風に笑って話せるなんて。
「Aさんは電車通学なん？」
「そうだよ」
永瀬くんは自転車通学だ。
今も自転車をひいて、横を歩いてくれている。
「じゃ駅までやな」
「えっいいよ！駅までなんて」
「いやいやもうすぐそこやし」
当然のように駅まで一緒に来てくれるようで、嬉しくてにやけそうなのを必死に抑える。
幸せすぎて死んでしまうかもしれないなぁ、なんて、本気で思った。
「じゃ、また明日」
「うん。ありがとう」
「もう未完成のラブレターは学校に持って来ない方がええで」
いたずらっぽく言う永瀬くんにボッと顔が赤くなる。
永瀬くんはそれを見て白い歯を覗かせたと思うと颯爽と自転車に跨がり、じゃ、と走っていってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 346人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
結愛(プロフ) - 突然すみません。以前他の方の小説を書かれていませんでしたか...？久しぶりに来てみたら大好きだった作品がなくなってしまっていて、頼さんをお気に入り登録していたのでもしかしたらと思いまして...。人違いやご不快に思われたらすみません。 (2020年7月23日 3時) (
レス) id: 515c739cb3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：頼 | 作成日時：2019年10月4日 23時
