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「それは、永瀬くんと定期的に話す口実が欲しくて……」
「……なんやかわいいこと言ってもあかんからな」
「えっ」
急にかわいいと言われて条件反射のように顔が赤くなる。
永瀬くんは僅かに目を見張って、照れんな、と視線をずらした。髪がかかった耳が少し赤い。
「でもさ、永瀬くんも好きな人がいるって言ってたでしょ。体育祭の打ち上げのあと」
「あー……あれAさんのこと」
「私と同じことしてるじゃん」
「せやな」
「……私、傷付いたんだよ」
「俺も傷付いてたからお揃いやわ」
わざとらしく睨むと、わざとらしくにやりと笑う永瀬くん。
でもそんな下手くそな駆け引きと言えないやりとりも、無駄に傷付いたことも、全部がなかったなら今こうはなってないと思うといとおしい。
初めてこうして並んで帰ったとき、夢みたいだと思った。
委員会が一緒になって、ラブレターを見られて、恋愛相談に乗ってもらうことになって。当然のように駅まで送ってくれたっけ。
その後から話しかけてくれるようになって、私も話せるようになって距離が近くなった。贅沢なことに、いつの日からか永瀬くんと話せることが当たり前になって。
恋愛初心者な私には正しい想いの伝え方なんてわからなくて、勘違いさせて傷付いて傷付けて、回り道して、それでもいろんな人に助けてもらって、
今こうして大好きな人と手を繋いで、帰り道を歩けている。
繋いだ手をぎゅっと強く握ると、永瀬くんもこたえるように握り直してくれる。
「永瀬くん」
「ん？」
「大好き」
世界で一番大好きだ。
今度は上手く伝わったのか、俺も、と笑う永瀬くんの顔は、夕日に負けないくらい赤かった。
すると、透き通った彼の目が見透かしたように弧を描く。
「Aさんも赤いで」
「えっ！」
「夕日みたい」
白い歯を覗かせて笑う永瀬くんと見る今日の空は、いつ見たものよりも綺麗だった。
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あー(プロフ) - 本当に面白い作品でした！幸せをありがとうございます！ (2020年5月11日 16時) (
レス) id: 027e812693 (このIDを非表示/違反報告)
kaede0318(プロフ) - とっても面白かったです！あと、借り物競走の時の紫耀くんのお題ってなんだったんでしょうか？？ (2020年4月22日 8時) (レス) id: 71eb8c3baa (このIDを非表示/違反報告)
キンプリ大好きちゃんのみー(プロフ) - sideとか誰が言ってるのか書いてあると読みやすいです(*^^*) (2020年3月19日 11時) (レス) id: f3c8e2ad49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頼 | 作成日時：2019年10月21日 20時
