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七海と2軒目としてやって来たのはオシャレで落ち着いたバーだった。
「何飲みますか?」
『あー…オペレーターにしようかな。』
「では、私はスコッチを。」
七海がウエイターに注文をする。
ここに来るまで少しの段差でも教えてくれたり、ドアを開けて待っていてくれたり、椅子を引いてくれたり。
慣れてるな、と思ってしまった。
こんなおしゃれな場所を知ってるんだ。
女の人とよく来るのかな。
嫌な考えが頭をぐるぐると回る。
注文したドリンクが届き、2人で乾杯をする。
七海とお酒飲むようになるなんてな。
『…元気だった?』
「おかげさまで。」
『そっか』
「…貴女は?」
『ふふ、おかげさまで。』
意外と2人になれば話せるもんだなと思った。
さっきの居酒屋では目は合わせられないし、話すなんてとんでもないと思ってたのに。
それから今まで何をしていたか、どんな仕事だったか、労働はクソということが分かったかなんて他愛のない話をした。
『…なんで呪術界戻ってきたの?』
お互いほんのり酔って、ちょっとずつ打ち解けてきたしこの流れなら聞けると思った。
「…怒っていますか?」
『え?』
「私が呪術界に戻ってきて。」
キュッと七海の口に力が入った。
あ、これ不安な時にする七海の癖だ。
『…怒ってはないよ。』
「……」
『でも、ちょっと複雑なんだ。』
少し乾いた口にオペレーターを流し込む。
ふわっと香るジンジャーに心が落ち着く。
『もう会えないと思ってたし、その覚悟をしてたから…』
「…そうですよね。」
『けど、やっぱり嬉しいよ。同期がいないのってちょっと寂しかったから。』
へらっと笑ってみせる。
そんな私を見て七海は少し長い溜息をついた。
「私が呪術界に戻ってきたのは労働はクソだと分かったからです。」
『ふふ。』
「ですが、もう1つ理由があります。」
少し暗い室内に七海の青緑の瞳は影を指して、深い藍に変わる。
「貴女と同じ世界で生きたいと思ったからです。」
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森 - ああもうなんなん!?好きすぎるんやけどホンマに‼(逆ギレ) (2022年2月1日 23時) (レス) @page12 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emma(プロフ) - Ronnyさん» Ronnyさま、コメントありがとうございます。とっても嬉しいですありがとうございます(TT)またちょくちょく書いていきたいと思いますので、その時に覗いていただけたら嬉しいです! (2021年3月5日 19時) (レス) id: 83ec74c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Ronny(プロフ) - あぁああああ好きです好きです!!!お気に入り登録しました!更新頑張って下さい! (2021年3月5日 19時) (レス) id: d499d51969 (このIDを非表示/違反報告)
emma(プロフ) - 東雲さん» 東雲さま、はじめまして。コメントありがとうございます。とっても嬉しいです、励みになります(TT)ご期待に添えるよう、頑張ります!! (2021年3月5日 18時) (レス) id: 83ec74c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
東雲 - はじめまして!最高です、とても面白いです。続きを楽しみにしてますね! (2021年3月5日 18時) (レス) id: ea3b01b8d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:emma | 作成日時:2021年3月4日 23時