38 ページ38
.
ベッドの中に潜り込んで
枕に顔を押し付け泣いていると
ギシッとベッドが軋む音がした。
ゆっくり布団を剥がすと
ベッドの端に座っていたのは
さっきまで一緒にいた廉だった。
廉「なぁ、A。ほんまごめん。」
「……わざわざそんなこと言いに来たの？」
ごめん、なんて何よりも残酷だと思った。
自分の気持ちを否定されて、
これで終わりだと
突きつけられているようで。
「帰って」
廉「嫌や」
「廉、お願い」
廉「帰らへん」
布団を剥がされ強制的に
廉の方を向かされると
鋭い睨みを効かせる。
本当はこんな顔、
見せたいわけじゃないのに。
「離れて」
廉「無理」
「廉、何がしたいの？私わかんないよ。もう苦しいよ」
廉「………」
「廉のこと好きでいるの、苦しい」
顔を歪ませて困った顔を浮かべた廉は
複雑そうに私を見つめる。
廉「でも、こんなに泣いてんのにほっとけへん」
「…離してっ……、誰のせいで泣いてると思っ……！」
ふと廉の顔を覗く。
こんな表情、初めて見た。
何故か廉まで今にも泣き出しそうで、
壊れてしまいそうで、
酷く儚く、脆く、淡い。
私が、廉にこんな顔をさせた…？
廉「俺のせいやんな、分かってる」
違う。廉のせいじゃない。
本当は全部何もかも私のせい。
だだの負け惜しみ。
嫉妬だよ、妬んでるんだよ。
私はどこにもぶつけようのない感情を
全部人のせいにして逃げているだけだった。
「……ごめん」
廉「ん？」
「私はただ……」
私が見たことのない廉の顔を
知っている彼女が憎かった。
私がどうしても欲しかった関係性を
簡単に創ってしまったのを認められなかった。
「ねぇやだ、廉。誰かのものになんてならないで」
廉「A、」
「私がこれからも隣にいて欲しいのは廉だけだよ」
私の右頬に大きな手を添えて
親指で涙を拭った廉は
静かに、でもはっきりと
言葉を紡いでいく。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1777人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しぃたん(プロフ) - 遠回りでも周りを傷つけても良いから最後は2人が結ばれて欲しい…です。泣。ちょっと平野君とくっ付くのが早かった…もう少し貫いて欲しかったってのが個人的な感想です。最後まで楽しみにしてます！！ (2021年6月20日 19時) (
レス) id: fbd6917c8c (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます＾＾もう下書きはすべて終えていてこれから徐々に公開していく予定ですので、これからも是非お付き合い頂けると幸いです！(；；) (2021年6月20日 0時) (レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - yuka111117さん» はじめまして、コメントありがとうございます＾＾いつもお付き合い頂きありがとうございますとても嬉しいです。これからも是非ご愛読よろしくお願いいたします(；；) (2021年6月20日 0時) (レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
み - 廉くんの気持ちが全くよめなくて行動もずるくて苦しいですね…何で主人公を選ばないんだよっと怒りも湧いてきます笑 とにかく話がどう進んでいくのか楽しみです〜 (2021年6月19日 23時) (レス) id: 5885128d74 (このIDを非表示/違反報告)
yuka111117(プロフ) - 初めまして、みうさんの作品いつも読んでいます。結衣さん、無神経すぎて好きになれないですね。はやく廉と別れて欲しいです。 (2021年6月19日 23時) (レス) id: 153b5c7d92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みう
| 作成日時：2021年3月15日 19時
