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胸の痛み ページ13

やっぱり、覚えてないのかな……。昨日のこと。
私は、緑川さんを手を振って送った後ぼんやりとそんな事を考えていた。
「……ちょっと寂しいかも。」
胸の辺りがズキズキして…何なんだろ。
緑川さんにとっては私は馴染みの店のただの店員でしかない。それ以外に接点はない。
きっと昨日のは何かの間違えなんだろう。


「A。店主が適当に片付けたらあがれって。」
「分かった〜。ありがと。前橋君。」
ひょいと手を挙げ前橋君は厨房に戻っていった。








私は、あれから布団などを片付けて家に帰る途中だった。
「オーイ!A!」
不意に後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「悟!どーしたの?」
「そりゃ、こっちの台詞だ。お前、朝帰りか?」
ニヤニヤしながら幼馴染みの悟が言ってきた。
「そうだけど?」
「そっか〜、彼氏とかと一緒に居たわけ?」
はぁ?悟の質問の意図が読み取れなかった。何故、私が朝帰りだったら彼氏が一緒とかいう話になるんだろ?
「どういう事?」
「お前な〜。隠さなくたって良いんだよ。」
隠すって何を(・_・?)大体、私は彼氏いない歴=年齢なんだよ?それに現在、記録更新中だし。
私は、とりあえず今までの話をした。すると、悟は残念そうな顔をして、ため息までした。
「彼氏の一人ぐらいそろそろ作れよ。じゃあな。」
そう言って悟はどこかへ走っていった。









彼氏ってやっぱり作らなきゃいけないものなのかな。

私は昔からだが恋愛に疎いと言われてきた。勝手な妄想かも知れないけど………私は、彼氏とかそういう人は作らなきゃじゃなくて………





いつの間にか出来ているものだと思う。

凄く自然に相手に寄り添って傷つけ合いながらも寄り添い続ける。

そんなものだと思ってた。

「Aさん。彼氏とか要らないの?へぇ。変わってるね。」
以前、そんなことを言われた。私は、多分恋愛とか向いてない。

だから………









望んだりしちゃ駄目なんだ………。

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作者名:坂田実 | 作成日時:2017年4月12日 18時

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