36.悪戯 ページ38
その後、パタパタとお店の人が走ってきたかと思うとすんなり奥の席に通してくれた。
真っ赤な絨毯の敷き詰められた個室に案内される。
「中也さん……私、殆どお金持ってないです……
もしや、これが狙いで！？」
「ちげぇよ莫ァ迦。
俺の奢りだ」
「一寸したお巫山戯じゃないですか。
……そういうとこ中也さんイケメンですよね」
笑い乍黒い革の椅子に座る。
前もって交換してくれていた様で、普通の椅子よりも少し高めだった。
ウェイターがメニューを置き、下がっていく。
そこで昨日のことを思い出し、顔を上げ中也さんを見る。
「……なんだよ」
中也さんは小首を傾げ乍不思議そうに聞く。
私は態と神妙な顔つきになって云った。
「昨日……帰り道で、偶々中也さんの話になって……
太宰さんが中也さんの恥ずかしい思い出話を色々教えてくれたんですよね」
「はァ！？」
ガタッと席を立つ中也さん。
此れは太宰さんがからかう気持ちが分からなくもない。
私は彼を一度宥め、椅子に座らせる。
「まあ、その時の話なんですけど……
『中也は昔から背が小さくて、16歳の時にレストランに食事に行った時なんか、子供用の椅子を出されていた』……と。」
「あァ？！
あれは彼奴が態々店員に頼んで持って来させたんだろ！？」
「私に云われても……」
苦笑して応える。
然し、内心彼の反応が面白過ぎて凄く堪えている。お腹痛くなりそうだ
中也さんは舌打ちをした後机を叩き、此方に身を乗り出してきた。
「……で？その後彼奴は何て云ってた？
絶対それぐらいじゃ終わらねェ筈だ」
流石元相棒、仲良しですね
なんて彼をおちょくってみたかったが、これ以上は危険だと思ったので大人しく伝える。
然し、心配せずとも未だ愉快な展開に転げさせられる。
「嗚呼、その後……
『結局、中也はあれから全く伸びなくてねェ……
未だに子供用の椅子で食事をしているのだよ。滑稽だろう？』ですって。」
「はぁぁぁ！！？」
その様子を見て、遂に堪えきれなくなり大笑いする。
其れによって中也さんは更に怒っていた。
……でも実は、そんな事太宰さんは云っていなかったりする。
『16歳の時にレストランに行ったら、小さすぎて子供用の椅子を出されていてね！』
『今度広津さんに教えてあげようかなぁ。
あ、中也の行きつけの店にも子供用の椅子出して貰えるように云っておこう！』
なんて内容だった。
私も可也の悪戯好きだね。
そう思い乍、中也さんを放ってメニューを広げた
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月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います！更新させていただきました！ (2018年5月14日 16時) (
レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです！これからも更新頑張ってください！ (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません！沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです！応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです！ 次の話を期待して待機してます(●´ω｀●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月城捺樹 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年10月14日 18時
