検索窓
今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:165,178 hit

21.正体 ページ23

ぼうっとする頭を何とか働かせる。
何とか上半身を起こし、口を開いた。

「何故太宰さんが……?」

「おや、起こしてしまったね
まあ、丁度いい。自分の右手辺りを見てごらん?」

右手……?
不思議に思い乍も右手を目の前に挙げ、眺めてみる
すると____




手の甲あたりから、黒い物がトプン、トプンと出てきていた。
……黒い物?

「え?こ、此れ、此れ如何いう事ですか?!」

甲から出た黒い物艶々とした球体は、ふよふよと浮いては小さな換気口の網戸から出ていく。
思わず其の球体を掴んでみると、思っていたより柔らかくぷにぷにしていた。

「此れは、どうやら異能の様でね。どんな小さな隙間でも、1mm程の穴があればすり抜けられるらしい。そして、この異能は__


君のものだよ、Aちゃん。」

太宰さんが球体をつつく。
すると、ぽんっという音を立てて球体は消失した

「被害が寮に近かったのも当然のことだね。
未だ制御出来ていない様だから、」

太宰さんは私の手に自らの手を重ねる。すると黒い物は次々音を立てて消えていった。
寝ぼけていた頭が漸く働いてくる

「私は……異能力者なんですか?」

「うん、そうだよ」

にこやかな笑みで告げられた。軽いですね
軽く言うことでは無いと思うのですが……
それより、私が異能者……?
部外者が、異能なんて持ってしまって良いのだろうか。原作は壊したくないというのに。

そんな事を悶々と考えているうちに、与謝野さんと太宰さんで話がついていた。

「Aは如何するんだい?折角の異能力者。
只の事務員で腐らせておくのは勿体無いと思うけど」

「その件に関しては、既に乱歩さんが社長に掛け合ってます。
本人の意思を尊重する……だそうです」

「成程ねェ。Aは如何したい?」

「うぇ?」

色々と考えていた為、話を聞いていなかった。
如何したい?……なんて言われても……

「無理に諜報員に成らなくてもいいんだよ?
Aちゃんはその身体だから、大変な事も多いだろう。」

太宰さんが優しく微笑む。
確かに諜報員は憧れたが、簡単にはいかないことも確かだ。でも……

「……今すぐに決めなきゃいけない事も無い。
ゆっくり考えて「いえ」……!」

「私は、諜報員に成りたいです。
然し__






それは出来ません。」

「……それは何故だい?」

22.異能力→←20.推理



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (242 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
424人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います!更新させていただきました! (2018年5月14日 16時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません!沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです!応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです! 次の話を期待して待機してます(●´ω`●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:月城捺樹 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年10月14日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。