新入社員は元幹部補佐【太宰治】

『何故？』 ページ18

Aside

『父､さん?』

嘘だ。父は随分前に亡くなっている。

『何で……？』

「……A？」

心配したように中也が名前を呼ぶ。
姐さんは何かを察したように私の頭にそっと手を置いた。

『あ……』

その手の暖かさに涙が溢れる。

『姐さん……中也……』

「お、おぅ､どうした？」

『父さんが……』

中也が目を見開く。

「父さんて……判った。A悪かったな､もう帰って佳いぜ」

その言葉にゆっくりと頷く。

──────

姐さんに送ってもらい帰ると

「Aちゃん……」

早々に治に抱き付かれる｡

『お、さむ？』

無言で頭をそっと撫でられる。
私は察した。治の事だ、盗聴機でも仕込んでいたんだろう。

「……大丈夫。大丈夫だからね。」

声をかけられ私は糸が切れたように大きな声で泣き始めた。

『あ……ああぁ……！治ぅ……っうあぁ……!!』

「辛かったよね……私がついているよ。……大丈夫だから……」

そのままずっと泣き続けていた。

＿喧嘩＿→←『あー…閲覧注意…？』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す