Ep.24 ページ27
「え、あのビル呪いいるよね!?」
「いるねぇ」
悠仁も呪いの気配がわかるようになってきたらしい。
呪いの気配がする。感知できる呪力量的には大した呪霊はいないだろうし、数も大していないだろうが、今あのビルにコナンくんが踏み込んだら、間違いなく呪いの餌食になる。
「宮下さん?どうかしたの?」
「あ、ううん。なんでもないよ。ねぇ君、どうしてあの現場に行きたいの?もう一ヶ月も前の話だよね」
「…………じつは、あのビルの事件の後から、三つの怪死事件が起きてるんだ」
「え?」
「犯人はいづれも捕まってない。警察は総力を上げて犯人を捕まえようと必死になってる。それぞれ、一見すると別の事件に見えるんだよ。現場にいた人間は違うし、共通点ではもない。………でも、僕は事件に関連性があると思ってる」
「ちょ、ちょっと待って!?君、どうしてそんなこと知ってるの?」
「あ、実は僕三つ目の事件には遭遇してるんだ。だから事情を教えてもらってて」
私は絶句した。となりで悠仁も絶句している気配がする。
なんと、コナンくん一ヶ月のうちに二件も事件に遭遇していると。…………いや、嘘でしょ?
「一ヶ月で二件も事件に遭遇なんて……災難だったね………」
「あはは。他にも何件か遭遇したし、いつものことだよ」
「………………」
「………………」
悠仁と共に言葉を失った。昨今の米花町ではこれが普通なのだろうか。私今まで生きてきて事件に遭遇したの、この前のが初めてだったんだけど…………。
いや、考えるのも不毛な話かもしれない。私の理解を超越している。
だが、一方で"なるほど"と納得もした。この子の憑かれる呪霊の多さは、その事件遭遇率の高さ故か。……いや、逆に呪われてるのかも。
なんだか、可哀想にも思える。この歳にして殺人事件に巻き込まれて、人の負の感情の局地を目の当たりにしているというのだ。これは、なんというか…………。
私は、コナンくんの両肩をガシリと掴んでクルリと小さな体の向きを百八十度回転させた。
「え、うわぁっ!?」
「コナンくん、ちょっと前向いててね」
私は、呪力を込めた片手で呪霊の烏合を振り払った。空気を割く音と共に微かな悲鳴をあげて、呪霊が消えてゆく。こんな簡単に払えてしまう程度の呪霊だが、塵積である。烏合の衆になれば、少なからず影響が出ていたはずだと思った。
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時