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Ep.19「テイクアウトと恋心」 ページ22

 




 喫茶ポアロ



 その文字が白抜きにされた大きなガラス窓の喫茶店は、ちょうど()いているみたいだった。今はアイドルタイムの終わり頃だろう。


 ……うわ、この上毛利探偵事務所だ!
 私は目を見開いた。まさかのまさか、名探偵のお膝元に喫茶店があるなんて、この喫茶店で事件は起きないに違いない。


 そう思いながら"ハムサンドめっちゃ美味しかった"とか"イケメン店員と可愛い看板娘がいる"とか、そんなレビューが大半を占める画面を見ていた………ら。



"この前殺人事件があったらしい"


 見なかったことにしよ。
 私は足取り軽く、その喫茶店の扉に手を掛けた。少しだけ開いた隙間から、コーヒーのいい匂いが漂ってくる。今はカフェオレが飲みたい気分だ。


 カラン、と涼やかな鐘の音が鳴る。視界が目の前の厨房を写して――私は大きく目を見開いた。つい昨日、陣平くんを見て驚いたのと同じくらいに、驚いたのだった。




「いらっしゃいませ!一名様ですか?」

「え、あ……はい」

「お好きな席へどうぞ」

「ありがとうございます………」




 せっかくなので、カウンター席に着いた。他の客はヘッドホンをしたサラリーマンと思われる初老の男が一人だった。




「ご注文はお決まりですか?」

「あ、カフェオレ一つと、レモンケーキで……ハムサンド、テイクアウトってできますか?」

「はい、もちろん」

「じゃあ、それとテイクアウトのハムサンド一つ」

「かしこまりました」




 店員の男は、完璧な営業スマイルを浮かべた。なるほどこれは、客寄せになる。レビューは中々当てになるもののようだった。ハムサンドも期待していいかも知れない。




 …………降谷さんって料理できなかったんじゃなかったのか?諸伏さんに教えてもらったのかな。いや、そもそも降谷さん料理するのかな?例の看板娘が全部やってるんじゃ……いや、それじゃあお店が回らない。やっているんだろう。………降谷さん、だよね?



 私はそろりそろりと店員さんに目を向けた。金髪、褐色、碧眼。……身体的特徴は、ピッタリと降谷さんと当てはまっていた。
 
 
 
 

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設定タグ:名探偵コナン , 呪術廻戦 , 松田陣平   
作品ジャンル:恋愛
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時

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