Ep.13 ページ16
なーんだ……と少しだけしょぼくれた様子の園子と蘭を見て、俺は苦笑した。そんなに落ち込まなくても。ただの幼馴染みからの土産をこんなくたびれるまで大事にしている―――それは、
我ながらこの推理は冴えていたな、と後から俺は思うこととなった。松田刑事は続けた。
「魔除けだかなんとかで効果があるとか言ってたな。俺は信じちゃいなかったんだが、絶対につけろってうるせぇの。女っつーのは、マジでわかんねぇ」
「えっ!?幼馴染みさんは女性なんですか!?」
「あぁ」
ストラップを片手に弄びながら、松田刑事はフッと笑った。その目の奥には、何かを懐かしむような色があった。
再び二人の瞳が輝き出したのが、この時。つまりストラップ云々は、松田刑事の思いを野暮に推測するのに充分すぎる要素となってしまったのだった。
そのストラップを送ったという宮下Aも、会ってみると妙に納得できてしまう。なるほどあのストラップを送った張本人か。どちらかというと、パンダストラップをつけていそうな雰囲気なのは、彼女の方だった。
宮下Aに、怪しい要素が事足りていたのは違いない。けれども、松田刑事との関係云々を見て聞くと、どうして中々人情として疑いがたくなってしまうのも一つの事実であった。松田刑事が彼女へ向ける表情に、どことなく身に覚えを感じてしまったのも、その一因かもしれない。
まぁ取り敢えず盗聴器付けとくか、とは思ったけれどそれはそれ、これはこれである。
「まぁ安心しろ」
「え?」
「アイツが犯罪でも犯しやがったら、俺が即刻現逮してやる」
「そ、そっかー………」
ニヤリ、と松田刑事は唇を釣り上げて笑う。獲物を狙う狩人みたいな獰猛さが隠れ見えて、俺の声は意図せず震えた。
俺の頭を無遠慮にぐしゃぐしゃとかき混ぜるように撫でる。妙になれた手つきで、宮下さんの頭もよくこんな風に撫でられていたのかもな、なんて俺は思う。
「コナンくーん!どこにいるのー?帰るよー!」と蘭が俺を呼ぶ声が聞こえた。同時に「松田くんー?帰るわよー!」と佐藤刑事の声も重なる。
そうだ。事件現場に松田刑事の
既に街は、深い夜闇の中に沈んでいた。
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時