検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:83,739 hit

陌拾肆 ページ21

「ナァ、A。」


「梓月、どうしたの? 」


「勝負マデアト一時間ヲ切ッタゾ。本当ニアイツト戦ウ気カァ?」


「勿論。それが今回私が呼ばれた理由でしょう?」


「ケレドモ相手ハ二ヶ月デ柱トナッタ天才ダロウ? オ前ノ勝利ハ全ク疑ッチャイナイガ、幾ラオ前デモ多少苦戦スルンジャネェカ?」


「ふふ、そんなに心配しなくて大丈夫よ。お館様が、私が必ず勝つって明言した理由は大体予想がついているもの。」


「ソウカ、ソレナラ頑張レヨ。ギャフント言ワセテヤレ。」


「うん、頑張るね。」







「さて、約束の時間だね、時透君。」


広い庭に出て、その中心で静かに待つ彼に語りかける。


相当集中力を高めているようで、その構えに隙がなかった。


そして彼が構えているのは木刀ではなく、霞のように白みを帯びた日輪刀。本気で戦いたいらしい。


「よし、それなら此方も応えましょう。」


刀を、抜く。


(しのぎ)まで透明なそれに驚いたのか、僅かに彼の目が見開かれた。


「はい、何時でもどうぞ。」


刀を構え、真っ直ぐに相手を見据える。


「行きます。」


次の瞬間、彼は大きく踏み込み、一瞬で私の間合いに滑り込んだ。


全集中・霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り


風を切り裂き、下から斜めに斬り上げてくる。


全集中・暉の呼吸 天菩比ノ舞


刀を弾いて防御すれば、少し下がったかと思うと次は霞を払うかのように、大きな弧を描いて斬りつけてきた。


後方に跳び回避する。今間違いなく私の首を狙っていた。本当に容赦ないな。


跳んでいる今ならバランスが悪いと思ったのか、そのまま一気に畳み掛けてきた。


全集中・霞の呼吸 陸ノ型 月の霞消


私の横を走り抜けつつ、刀を大きく振るう。


技を出すまでもない。剣先を下に傾け水のように技を受け流す。驚き開かれる目を狙って、身体を流れのまま回転させ突く、事は勿論しない。刃先が触れる直前ピタリと止めれば、少し遅れて彼は飛び退いた。


そして、不満げに此方を睨み付ける。


「実力差は分かっています。けれども手加減しないで下さい。」


「それなら本気で掛かっておいで。私を殺す気で来ないと勝てないよ。」


「…そうですね、分かりました。けれども後悔しないで下さいね。」


明らかに、空気が変わった。


彼は大きく息を吸って、次の瞬間目の前から掻き消えた。


全集中・霞の呼吸 漆ノ型 朧

陌拾伍→←陌拾參



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
126人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

酸漿(プロフ) - きなこ餅さん» 有り難う御座います。これから続編を書いていくので、そちらの方も是非お楽しみください。 (2019年10月20日 21時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅 - たくさん伏線がはられていて、読む度にドキドキします! これからも更新頑張って下さい! (2019年10月19日 21時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 神桜佳音さん» 嬉しいコメントありがとうございます(^-^)励みになります。これからもどうか宜しくお願いします。 (2019年10月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - ようやく納得しました…!話が深い…。辛い。けど、すごい好きです!無理されないで更新されてください!続き待ってます! (2019年10月10日 19時) (レス) id: 78c574c661 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:酸漿 | 作成日時:2019年9月21日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。