陌拾肆 ページ21
「ナァ、A。」
「梓月、どうしたの? 」
「勝負マデアト一時間ヲ切ッタゾ。本当ニアイツト戦ウ気カァ?」
「勿論。それが今回私が呼ばれた理由でしょう?」
「ケレドモ相手ハ二ヶ月デ柱トナッタ天才ダロウ? オ前ノ勝利ハ全ク疑ッチャイナイガ、幾ラオ前デモ多少苦戦スルンジャネェカ?」
「ふふ、そんなに心配しなくて大丈夫よ。お館様が、私が必ず勝つって明言した理由は大体予想がついているもの。」
「ソウカ、ソレナラ頑張レヨ。ギャフント言ワセテヤレ。」
「うん、頑張るね。」
「さて、約束の時間だね、時透君。」
広い庭に出て、その中心で静かに待つ彼に語りかける。
相当集中力を高めているようで、その構えに隙がなかった。
そして彼が構えているのは木刀ではなく、霞のように白みを帯びた日輪刀。本気で戦いたいらしい。
「よし、それなら此方も応えましょう。」
刀を、抜く。
「はい、何時でもどうぞ。」
刀を構え、真っ直ぐに相手を見据える。
「行きます。」
次の瞬間、彼は大きく踏み込み、一瞬で私の間合いに滑り込んだ。
全集中・霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り
風を切り裂き、下から斜めに斬り上げてくる。
全集中・暉の呼吸 天菩比ノ舞
刀を弾いて防御すれば、少し下がったかと思うと次は霞を払うかのように、大きな弧を描いて斬りつけてきた。
後方に跳び回避する。今間違いなく私の首を狙っていた。本当に容赦ないな。
跳んでいる今ならバランスが悪いと思ったのか、そのまま一気に畳み掛けてきた。
全集中・霞の呼吸 陸ノ型 月の霞消
私の横を走り抜けつつ、刀を大きく振るう。
技を出すまでもない。剣先を下に傾け水のように技を受け流す。驚き開かれる目を狙って、身体を流れのまま回転させ突く、事は勿論しない。刃先が触れる直前ピタリと止めれば、少し遅れて彼は飛び退いた。
そして、不満げに此方を睨み付ける。
「実力差は分かっています。けれども手加減しないで下さい。」
「それなら本気で掛かっておいで。私を殺す気で来ないと勝てないよ。」
「…そうですね、分かりました。けれども後悔しないで下さいね。」
明らかに、空気が変わった。
彼は大きく息を吸って、次の瞬間目の前から掻き消えた。
全集中・霞の呼吸 漆ノ型 朧
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酸漿(プロフ) - きなこ餅さん» 有り難う御座います。これから続編を書いていくので、そちらの方も是非お楽しみください。 (2019年10月20日 21時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅 - たくさん伏線がはられていて、読む度にドキドキします! これからも更新頑張って下さい! (2019年10月19日 21時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 神桜佳音さん» 嬉しいコメントありがとうございます(^-^)励みになります。これからもどうか宜しくお願いします。 (2019年10月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - ようやく納得しました…!話が深い…。辛い。けど、すごい好きです!無理されないで更新されてください!続き待ってます! (2019年10月10日 19時) (レス) id: 78c574c661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年9月21日 18時