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陌拾 ページ17

「ねぇ、錆兎。いよいよ明日Aちゃんが出発しちゃうね。」


「そうだな。寂しくなるな。」


「今年もやっぱり変わらなかった(・・・・・・・)ね。」


「あぁ、相変わらず凄まじかった。」




「「Aの、背後霊。」」




「今まで憑かれている人は見たことあるけれども、やっぱりあの数は異常だよね。」


「数えた事はないが、優に三十は超しているだろう。そしてまた増えていた。」


「…真っ白な髪の男の子でしょ。多分Aちゃんの仲間なんだろうね。」


「他にも姉弟のような人も混じっていたな。隊服を着ていたし、きっと彼等も鬼殺隊員だったんだろう。」


「生前その人に対する思いが強ければ、背後霊として憑けるんだろうけれども、多分あの人達は別だよね。」


「あぁ、元々憑いていた人のことか。顔付きも似ているし、恐らくAの先祖、暉峻一族の者達だろうな。」


「そして何時も彼等の先頭にいる、Aちゃんによく似た女の人。あの人はきっと…」


「暉峻一族の長だろうな。何時の時代の人かは分からんが、俺達よりもずっと前の人に違いない。」


「…きっと、ずっと暉峻一族の人に憑いてきたんだろうね。」


「そして何度も、悲劇をその目で見届けてきた。」


「Aちゃんに今教えるべきではない気がする。なんとなく、だけれども。」


「あぁ、俺もそう思う。来たるべき時が来れば、自ら姿を現すだろう。」


その時、ふわりと風が吹いた。


はっとして後ろを振り返れば、其処には一人の女が立っている。


美しいその女は 憂いの影が残る、淋しげな表情を頬に浮かべて、艶やかな黒髪を靡かせていた。


「貴方達に、頼みたいことがあります。」


涼やかでAとよく似たその声は凛としていて、その一言だけで強い覚悟を感じた。


「貴方達の力で、どうか私を送って(・・・)欲しいんです。」

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酸漿(プロフ) - きなこ餅さん» 有り難う御座います。これから続編を書いていくので、そちらの方も是非お楽しみください。 (2019年10月20日 21時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅 - たくさん伏線がはられていて、読む度にドキドキします! これからも更新頑張って下さい! (2019年10月19日 21時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 神桜佳音さん» 嬉しいコメントありがとうございます(^-^)励みになります。これからもどうか宜しくお願いします。 (2019年10月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - ようやく納得しました…!話が深い…。辛い。けど、すごい好きです!無理されないで更新されてください!続き待ってます! (2019年10月10日 19時) (レス) id: 78c574c661 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年9月21日 18時

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