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全集中・暉の呼吸 天菩比(アメノホヒ)ノ舞


それは祭具を両手で握り、水平に素早く振るう舞い。


鬼の胴体が割れ、一瞬動きが止まる。


その隙に手足の健を斬り裂き、抵抗出来ないよう完全に動きを止める。痛みで暴れ出す前にその頸に刃を振るった。


一般人からみれば、それは一瞬の出来事。


刃に着いた血を払い、男に向かって歩いていく。


「さぁ、此処で何をしていたのか吐いて貰おうか。」


刃を突きつければ、男は顔を真っ青にし、小さく悲鳴を上げてその場に倒れ込んだ。


「逃げるな。」


揺すって無理矢理でも起こそうとしたその時、肩を捕まれた。


「テメェはもう休んどけ。後は俺がやる。」


その言葉に、やっと身体の力が抜けた気がした。






「ご免なさい。つい、かっとなった。」


「…それは俺が怪我した所為か?」


「うん。…昔から、血を見るとどうしても我慢出来なくなる。」


「それでよく鬼殺隊としてやっていけるなァ。」


「大分ましにはなったよ。でも目の前で誰かが傷付いた時は、自分の弱さを嫌でも思い知らされるから。」


「…それは、過去にでも関係が有るのかァ?」









雪が、朱に染まる。


『貴女に、全てを背負わせてしまう事になる。それでも私は、』


どうして貴方は 微笑んでいられるの?









「そう、だね。…未だに引き摺っているよ。」


思い出しながら 自嘲的に微笑む。


「それじゃあ、俺と同じだなァ。」


目を、見開いた。


「だから今は、ただひたすら強くなる。それだけだろォ?」


そう言って髪をぐしゃぐしゃに撫でる彼の口角には、隠しきれない 晴れ晴れとした微笑が滲んでいる。


「うん。君の言う通りだ。」


全身に太陽の光を浴びながら、前を行く。風に髪を靡かせ くるりと彼の方を振り返り、微笑んだ。





「有り難う、実弥!」





「それは、反則だろォ。」


実弥は何かをぼそりと呟いたような気がしたが、そっぽを向いてしまい聞き返す事は出来なかった。


「カァ、カァ! 次ノ任務ハ箱根ェ! 其処デ異形ノ鬼ガ目撃サレタ!」


鴉が頭上を旋回しながら叫ぶ。


「もう、行かなくちゃ。」


改めて、実弥を見る。初めは生け好かない奴だと思っていたけれども。


目指す所は同じだと、互いに分かったから。


「また、会おう!」


「当たり前だろォ。」


そうやって自信満々に言える所が今は羨ましい。その自信たっぷりの笑顔につられて、自然と笑みが零れた。

捌→←陸



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mikki-(プロフ) - 酸漿さん» ひぇ……お友達さん絵が上手すぎやしませんか????貴方の作品もお友達さんの絵も好きです応援してます!! (2019年7月29日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - mikki-さん» 友達が書いてくれたものです。登場人物紹介に載せているのは、角&耳っこメーカー様からお借りしたものです。紛らわしくてすみません。 (2019年7月29日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - 初めまして。質問なのですが、表紙のイラストは酸漿様が描いたものなのですか?教えて下さい (2019年7月29日 18時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 金糸雀さん» その通りです。夢主の母を鬼にしたのも彼です。彼は自ら会いに来るまでは待つ、という約束を律儀に守っています。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - まさか、過去の話に出てきて鬼は上弦・壱ですか? (2019年7月7日 1時) (レス) id: 359e27b0ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年6月16日 19時

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