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それは凍てつくような寒夜の事だった。


真っ白な雪が肩に降りかかる。冷やかな空気は肺を内側から刺し、吐いた息は白い。


先を行く鴉を追い、どれぐらい歩き続けただろうか。ふと、足を止めた。


何か、嫌な予感がする。


…気の所為なら良いが。


山道を逸れ、遠くに見える屋敷に向かって一歩を踏み出す。


そして次第に、その足を早めていった。


無断で壮大な造りの門を潜り、庭へと向かう。其処から確かに匂いが漂っていた。


雪が降り積もるも よく整えられた庭園を抜け、そして足が止まった。


一人の少女が、硝子戸を開けたまま 縁側に座り込んでいた。


その視線の先には、積み上げられた死体の山。


床に転がる眼球、腹から零れ落ちた(はらわた)、そして部屋全体に血が飛び散っている。それは今まで見てきた中でも、特に惨たらしいものだった。


その血がまだ乾ききっていないこと、その少女は血に濡れていないことを確認して、彼女の肩に手を置いた。


「おい、此処で何が__」


息が、止まった。


雪のように真っ白な肌に、長く伸ばされた艶やかな黒髪。血塗られたような唇は小さく結ばれている。だが、その美しさに驚いたのでは無かった。


花の様な模様が浮かぶ薄紅色の瞳には、哀しみも怒りも無く。ただ、其処には__


「貴方は、鬼狩りの方ですか。」


堂々と此方を見据え、淡々とした口調で問う彼女には、既に迷いは感じない。


「そうだ。この者達は、鬼に殺られたのか?」


彼女は小さく頷いて、裸足で庭に降りた。制止の声を上げるより先に、彼女は雪の上に跪く。


「私に、剣術を教えて下さい。」


その真っ直ぐな目に、年下ながらも気圧され、頷いてしまう。


それが彼女、Aとの出会いだった。

合→



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mikki-(プロフ) - 酸漿さん» ひぇ……お友達さん絵が上手すぎやしませんか????貴方の作品もお友達さんの絵も好きです応援してます!! (2019年7月29日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - mikki-さん» 友達が書いてくれたものです。登場人物紹介に載せているのは、角&耳っこメーカー様からお借りしたものです。紛らわしくてすみません。 (2019年7月29日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - 初めまして。質問なのですが、表紙のイラストは酸漿様が描いたものなのですか?教えて下さい (2019年7月29日 18時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 金糸雀さん» その通りです。夢主の母を鬼にしたのも彼です。彼は自ら会いに来るまでは待つ、という約束を律儀に守っています。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - まさか、過去の話に出てきて鬼は上弦・壱ですか? (2019年7月7日 1時) (レス) id: 359e27b0ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年6月16日 19時

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