ニュートと迷い ページ7
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「──メラ、どうしたのその身体……君がこんなに傷つくなんて普通じゃない。
服と手の火傷はエルンペントに協力してもらった時のなんだね？けど、そのみみず腫れは──ちょっと看せて──」
「〜っマスターの馬鹿ァ！自分は死ぬところだったくせして、人の心配してる場合!?」
クイニーの一声で飛び込んだトランク。転がり落ちたニュートの研究室の一角でメラは叫んだ。
自分の事よりも人を心配するのは彼らしい。ちょっとしたピンチの時なら喜んで居たかもしれないけれど──今真っ先にメラを心配されるのはどうしても違う気がした。
「けど、僕は無傷だ。君が怪我してるのに放って置けない」
「死んでないんだから平気よ。こんなのすぐに治るわ」
「そう言う事じゃ──」
「そう言う事よ！」
メラは一瞬激情のままに、自分がどれだけニュートの死が怖かったか、それに比べたらこんな傷なんて、いかに些細な事かをぶちまけてしまおうかと思った。
けれど、ふと脳裏に浮かんだのはグレイブスの顔だった。氷の様に冷たい目。皮肉った薄い唇が紡いだ言葉。
『──君は彼の死の口実に成りうる』
熱くなっていた頭の奥がすうと冷えた。今、自分が何に怒っているのか。その本質が見えた気がして、思わず両手で顔を覆った。
「……メラ？」
もしかしたら、ニュートを殺す理由を与えたのは私だったかもしれない。いや、彼の死の口実になるかもしれないのは今もだ。──ずっとずっと、当たり前みたいに彼の隣に居た私が。
──心配される資格なんて！
訝しげなニュートの呼びかけに、メラは今更ながら冷や汗が伝うのを感じた。彼だけじゃない。同じ部屋に居るジェイコブやティナまでもが、不思議そうな顔で彼女を見ている。
我に返り、何て言えば分からなくなったメラは、普段の自分なら何て言うかを考えた。
──考えた結果、諦めたようにため息を吐いて見せる。
「……子供じゃないっていつも言ってる。自分で手当て位できるわよ。
どんな傷にもハナハッカのエキス、場所は木の戸棚、緑の小瓶。教えてくれたのはマスターでしょ？」
言うだけ言ってメラは踵を返す。心配してくれていたニュート相手に、思ったより冷たく突き放すような言い方になってしまった事に驚き、困惑して。
──けれど今更何の言い直しも出来なくて、「トランクを出る時は教えて」と彼を背にしたまま付け足した。
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とーふ(プロフ) - 心情の変化を細かく描いてくださっているので、場面が変わるごとに私自身も感情が変わってました笑 素敵な作品をありがとうございます。少しずつ関わり方も変わるのかな？と思いながら、更新を心待ちにしております！ (2022年4月10日 0時) (
レス) @page31 id: ab5a3330b3 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - スクイブってマグルにも魔法族にも何にもなれぬとても難しい位置にいるんだと感じました。なかなか進展しなそうな難しい恋ですね、これからどうなるのか楽しみです♪ (2022年1月29日 8時) (レス) @page31 id: 6532c97378 (このIDを非表示/違反報告)
Kaede.0807(プロフ) - めっちゃ好きな作品です!更新楽しみに待ってます!! (2020年11月15日 20時) (レス) id: 3d85b18928 (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon - 取引のところで泣きました……夢主の気持ちが心に刺さりました……あとニュートがかっこいい……更新頑張ってください！！ (2020年6月17日 23時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます！私事で更新が間延びしてしまいましたが、これからものんびり更新していく予定です！ニュートと夢主の行く末を何卒これからもよろしくお願いします！！ (2019年10月22日 17時) (レス) id: 3d953e5ca0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかこ | 作成日時：2019年2月3日 19時
