Dragon girl 2【ファンタビ】

マクーザと危機 ページ5

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「アロホモラ(鍵よひらけ)……アベルト(解錠せよ)……

───ウーンあいつ、やっぱり、強力な鍵の呪文を知ってるわね。中からしか開けられない様になってるのかしら」


開心術で姉の危機を察し、グレイブスのオフィスに辿り着いたクイニーが苛立って呟く。


彼女の機転でオブリビエイトを免れたジェイコブは、NY銀行の金庫すら開けた呪文が効かないことに愕然としていた。


「ひょっとして今、中に誰かいるんじゃ……」


グレイブスの冷徹な顔を思い出し、ジェイコブは身震いする。クイニーがまさか、と首を捻ったと同時───ガチャと鋭い音がして、横の鍵穴が縦向きに変わった。


2人は反射で目を見開き、クイニーが息を飲みながら杖を扉に向ける。


「誰？──待って、グレイブスじゃない」


僅かにオフィスの扉が開いた瞬間、彼女は思わず杖腕を下げた。……あの男より随分と背が低い。


は、と浅い息を吐いた少女が、倒れ込むように出てきたのを見て、咄嗟にジェイコブが抱き止めた。そして目を見張る。


「メラ……？メラじゃないか！何でそんなボロボロに……」


可愛らしいレースのブラウスは黒く焦げ、仕立てのポンチョは焼けたように穴が開く。鱗の散る肌には、みみず腫れに似た赤が無数に走っていた。


「──クルーシオ(苦しめ)？あの男、貴女にそんな事したの？使っちゃダメな筈なのに！──ねぇ、あの大きな動物って一体……

──爆発？」


「クイニーさん、心読むのやめて。私は大丈夫よ。見た目はアレだけど、大して怪我もしてないわ。

それより、この足枷を早く外して！手は何とか外せたんだけど足はどうにも……マスターが死んじゃう！」


今にも泣きそうなメラの叫びで、二人はようやく彼女の足元に目が行った。重そうな鉄の輪が足首をがっちり固定している。


クイニーは慌てて杖を振り、足枷は只の鉄塊になってメラの足を離れる。途端、案外しっかりと自力で体を支えた少女を見て、二人はひとまず安堵した。


しかし、その安堵もすぐに絶ち消える。


「死んじゃうって……ニュートに何があった？クイニーからはティナもピンチだって聞いたけど」


「──死刑なの、マスターもティナさんも。グレイブスって奴が何か企んでる！

大いなる善には犠牲が必要だって」


メラの言葉を聞いて、クイニーの顔が色を無くした。


「ティーニー！そんな、まさか──グリンデルバルドが関わってるの？」

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