Ep.43 オレンジジュース ページ43
疑惑の眼差しを向けられ、コナンと安室はとっさに顔を見合わせる。
「あ……い、いや……」
「別にそういうわけじゃ……」
「ねえねえそれより表の看板に季節メニュー出てたでしょ、アレ注文していい？」
「えっ？ ああ、もちろん！ ドリンクセットはお付けします？」
「オレンジジュースで！」
「ってちょっと……Aさん！？」
一方、持ち前のマイペースさを遺憾無く発揮し自分で蒔いた種を無視してカウンターへ収まるA。とうとう安室は人知れず息をついて仕方ないとばかりにキッチンへ戻る。
「……どうするの、安室さん」
「どうするもこうするも……とにかく今は様子を見て、あとで釘を刺しておこう」
「もしかしてAさんって前からこういう感じ……？」
「まあ、それは企業秘密ってことで……」
二人がカウンターを隔てて囁きあっているあいだ、ふと梓がAの顔を覗き込んで訊ねた。
「Aさん、もしかしていいことでもありました？」
「え？ どうして？」
「いえ、なんだか……いつもに増して楽しそうというか、活き活きしてるというか……」
唐突にそんなことを言われ、Aは意外そうな丸い目で梓を見返す。
「ふーん……」
とはいえ心当たりはあった。しばし顎に手を当てて考える素振りを見せたあと、置かれたグラスの中身をストローでゆっくりかき混ぜながら、ニッと口角を上げる。
「ま、今いちばん楽しみなのはやっぱ季節限定のケーキかな！」
「えっ、そんなに楽しみにしてくれてたんですか？ じゃー腕によりをかけて作らないと！ って言っても、あとは飾り付けをするだけなんですけどね……」
「最後の仕上げ大事だよー！ がんばれえのちゃーん！」
「ちょっと、そんなに盛り上げないでくださいよ！」
液体を揺らす氷の音。ガラス壁から差し込む柔らかな日差し。
それは一見すればのどかな昼下がりの喫茶店。
「……いいこと、か」
そのときAが浮かべた、一瞬の笑みを目のあたりにした二人の探偵は今になって気付いたのだった。
厄介な攻防は始まったばかりなのだと。
もはや通り名すら捨て去った変わり者の情報屋。
彼女が伏せた新たな手の内を、今はまだ誰も知らない。
────────────────
Fin.
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上坂 - 夢主好き💛 (2023年1月19日 21時) (
レス) @page14 id: f311cd81c1 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主好き💜 (2023年1月4日 18時) (レス) @page32 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆(ｴﾓｼﾞｼｸｼﾞｯﾀﾀﾒｻｲｿｳｲﾀｼﾏｽ) (2022年12月13日 3時) (レス) id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - おめでとうございます！！！！！( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2022年12月13日 3時) (レス) @page25 id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - はじめまして！ほろにがクラゲ★様いつもの楽しみに読ませていただいております。本当にコナンの世界に出てきそうな感じの夢主さんでこれからの展開にワクワクしております。卒業試験頑張って下さい！！ (2022年12月1日 15時) (レス) @page13 id: 33a5069289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2022年11月25日 16時
