Ep.21 可能性の話 ページ21
頷いて答える。
「そう、あのNAZU。まさかあんな情報屋殺しのシステムが味方になる日が来るとはね」
サイバーテロ対策のための協力者を多く持つ公安警察といえども、今回の不正アクセス元を辿るのは難しいだろう。
それほど私たちのような人間にとってNAZUの開発したシステムは厄介だということだ。
「協力者……か」
『協力者?』
「ああ、ごめん。ひとりごとだったんだけど……」
声に出てたか。ごまかすように少し笑って頭をかく。
「公安警察ってのは、民間の協力者を多く持つんだ。その中にはテロ対策でサーバー関係者なんかもたくさんいる。そんな公安でも独力じゃNorの匿名性は破れないとなると……真犯人の特定はまだ難航しそうだと思ってね」
『ふーん……でもなんでAさんがそんなこと知ってるの?』
「私みたいな奴らの中では有名な話だよ! 協力者を使った公安の捜査は『通信傍受法』で認可されてる、そんなの情報屋の天敵だもの。Norの匿名性解除システムについても同じ理由で既に噂が出回ってるんだよ」
『そっか……』
「あ、そうだ。そういえばテロの件でキミに相談したいことがあったんだったけど、聞いてくれる?」
『うん、聞かせて。今はなんでも知りたいんだ』
スマホを逆の手に持ち直し、カーテンに手をかける。
これはほとんど私の想像だ。
「単刀直入に言うとね、現場検証のデータから爆発物が推測できた」
『え!? それって……』
「その上で、あくまで可能性の話なんだけど……もしサミット会場爆破の原因が私の想像通りだとしたら、犯人にはまだテロの手段が残っ────」
────バチン。
おおよそスマホから聞こえるはずのない音がして、咄嗟に端末を耳から話す。
「な……うわ熱ッッつ!?」
画面がブラックアウトした直後、端末から小さな火花が散った。
本体が手に持っていられないほど熱くなり床に落とす。閃光が走り、画面が割れて破片が飛んだ。
「なんッ、えっ……」
……故障? いや、そんな予兆はなかった。だとしたら……。
「じゃあ……いや待ってPC危ねえ!」
光の速さでLANケーブルとWi-fiの線を引っこ抜き、ほっと息をつく。もしかするとネット回線に繋がってる他の機器も同じ被害を受けかねないから。
それからベランダに出て街の様子を眺めた。
そこには、衝撃の光景があった。
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上坂 - 夢主好き💛 (2023年1月19日 21時) (レス) @page14 id: f311cd81c1 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主好き💜 (2023年1月4日 18時) (レス) @page32 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆(エモジシクジッタタメサイソウイタシマス) (2022年12月13日 3時) (レス) id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - おめでとうございます!!!!!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2022年12月13日 3時) (レス) @page25 id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - はじめまして!ほろにがクラゲ★様いつもの楽しみに読ませていただいております。本当にコナンの世界に出てきそうな感じの夢主さんでこれからの展開にワクワクしております。卒業試験頑張って下さい!! (2022年12月1日 15時) (レス) @page13 id: 33a5069289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年11月25日 16時