Ep.13 仕返しの準備 ページ13
「ちょっと安室さん、そんなことわざわざお客さんに聞かないでくださいよ! ごめんなさい、Aさん!」
「いやいや私は別にいいんだけど……面白い人だねえ、イケメンさん」
呆れ笑いと和やかな嘆息。どうやら気分を害してはいないようだと梓は胸を撫で下ろす。
それに、本心を語るならばコナンや梓もその回答には少し期待していた。突然消えて突然現れた彼女の行動はやはり不自然ではあったせいだ。
「うん……美味しいケーキ食べさせてもらったしちょっとだけ教えてあげようかな。ここへ来ない間に何をしてたか、だっけ?」
その期待を汲み取ってか否か、やはりもったいぶるように間を置き、ケーキを切って口に運ぶA。
一瞬。
綻びかけた口元が、輝いていたはずの瞳が、揺らぎ、歪んだ。
「ま、強いて言うなら
けれど気のせいだったのかもしれない。歪んだように見えた表情は時たま見られるいたずらっぽい微笑に、声音もそれに似た色へ変わっていた。
その目は質問者である安室を見据えていた。カウンターを隔て、まっすぐに視線を交わす。
主語を省かれた曖昧な言葉に梓がきょとんと首を傾げる。
「仕返しって……どういう意味ですか?」
「さて!」
突然立ち上がるA。イスの音に子供たちや蘭、小五郎も振り返った。
「私はそろそろおいとましよっかな! ケーキおいしかったよ、ごちそうさま。今度はちゃんと食べにくるね〜」
「って、Aさん!? あの────」
ドアベルが鳴り響く。止めるヒマもなく席を立った彼女の姿が瞬く間に消え、自然と扉が締まり切るまで誰もが呆然と出入り口を見つめた。
「い……行っちゃった……」
「え? わ、私ヘンなこと聞いちゃったかな……!?」
「いえ、きっと梓さんのせいじゃないですよ」
「なんだなんだ? 彼女、用でもあったのか?」
「……安室さん」
そっとコナンが声を潜める。
「なんだい、コナンくん」
「安室さんってもしかしてAさんのこと知ってるんじゃない?」
「え、どうして?」
「だって……」
「ああーっ! そうだった!」
突然大きな声を上げたのは小五郎だった。
「ここに来た用事を忘れてた! はい、コレ!」
「あ、どうも。……ああ、来月やる東京サミットの」
梓が小五郎から受け取ったバインダーは道路交通規制の案内。
統合型リゾート「エッジ・オブ・オーシャン」にて予定される東京サミット、その開催が間近に迫っていた。
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上坂 - 夢主好き💛 (2023年1月19日 21時) (レス) @page14 id: f311cd81c1 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主好き💜 (2023年1月4日 18時) (レス) @page32 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆(エモジシクジッタタメサイソウイタシマス) (2022年12月13日 3時) (レス) id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - おめでとうございます!!!!!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2022年12月13日 3時) (レス) @page25 id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - はじめまして!ほろにがクラゲ★様いつもの楽しみに読ませていただいております。本当にコナンの世界に出てきそうな感じの夢主さんでこれからの展開にワクワクしております。卒業試験頑張って下さい!! (2022年12月1日 15時) (レス) @page13 id: 33a5069289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年11月25日 16時