JK探偵はそのメタ推理に命を賭ける【名探偵コナン】

Ep.153 クライマックスを ページ3

けれど違和感を見つけてしまえば、今度は芋づる式に次の疑問が浮かび上がった。

なぜ今になって……最終日の今日になって、ベルモットは私の前にも姿を見せたのか。

私は彼女がいることを知らされてすらいなかった。別に船を降りるまで、なんならずっと知らないままでも構わなかったはずだ。直接会いに来た割に緊急の連絡もなかった。

『まあ……分からないならいいんだ。それより早く戻ってこいよ。着港まで何時間もねーぞ』

「……うん」

彼女の行動が示す意図、ではない。

意味。

私が知りたいのは、そこに込められるべき意味。

それは私にとって、いつも比較的容易に想像がつくものだった。

予感でしかないかもしれない。予感してしまった。

腕時計に目を落とす。コナンの言うとおり、もう船は何時間とかからず港の見える地点まで至る。

「……新一くん」

『んだよ』

「下船まであまり出歩かないで。子供たちにもそう伝えて。それじゃあ」

『えっ？ ちょっ……』

聞かずに通話を切った。

歩みは少しずつ早く、大股に、小走りに、やがて私はどんどん人気のなくなる廊下を駆け抜けていた。

確かめなければ。

何もかも終わり、ではない。

まだ終わっていないのだ。それは私が関わるべきなのか、彼らにも影響が及ぶものなのか、何も分からないけれど。

私の直感が告げている。

希望的観測混じりの憶測が形を成し始めている。

この物語は────まだクライマックスを迎えていない。

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