Ep.123 疑惑の針が指す先 ページ23
「だからできれば、その男は私が殺したってことにして、秘密裏に警察へ身柄を引き渡したい。組織内での仕事ぶりによっちゃ実刑は免れないだろうけど……」
「裏切り者として消されるよりはマシさ。となると船が海に出ている間に手を打ちたいが……ヘリコプターか別の船を不用意に近付ければ奴らが勘付きかねない。あんたの親父さんがどういうつもりなのかは知らねえが、あの様子じゃ協力してもらうってのは難しいだろーしな」
「……顔合わせたら殺しにかかってきそうだからな。それが理由ってわけじゃないけど、正直もうあの組織にはいられない。この作戦を完遂したら私も逃げるよ」
「って……さっき呟いてたの本気だったのかよ? 中高の部活じゃねーんだぞ!?」
「分かってる分かってる、だから相談しようと思って全部話したんだ。どうしたらいいと思う?」
「どうしたらって……普通オレに言うか……?」
「お互い様でしょ」
「何が?」
「私は今まで組織側の人間で、あなたはそれをとっくに知ってた。にしてはちょっと警戒がおざなりだったように思えてね。探偵らしくもない」
「……」
「……どこで分かったの? 私が本気で組織に忠誠を誓った人間じゃないって」
「……あんたが口を滑らせたおかげだよ」
そう言われると、記憶のどこかでうっすら思い当たる節を辿って、ふと思い至る。
「まさか……私が『黒の組織』って言ったから?」
言葉としての返答はなかったが、視線で悟った。私を見据える目が真っ直ぐに伝えていた。
ああ、なんだ。そんなことで……────
「……ふッ、はは……。はは、そっか……」
そんな一言で、私はあなたの敵になり損ねていたのか。
白と黒の間で振れた疑惑の針。
それでも、あなたから見た私は、真っ黒ではなかったんだ。
「な、なんで急に笑うんだよ……それより確認だけど、奴らの仲間が他に潜んでる可能性は?」
「ああ……私は聞いてないな。父さんは……どうだろう、あんな話までしたくらいだし他には誰もいないと思うけど」
「……」
「……何か思い付く?」
「いや……まだ何とも……」
「じゃあ話を続けるよ。写真の男を警察に引き渡す件、法執行機関に関わる協力者が必要だと思う」
「ああ、奴らの目を掻い潜んなきゃならねーからな。手段としては小型の船か……」
「……もしかすると、どさくさでヘリコプターに乗せられる可能性もある」
「ヘリコプター?」
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 莉久さん» わーありがとうございます❗無理なく書いてるものなので、無理なくお楽しみいただければ嬉しいです٩(*´∀`*)۶ キッド様のキザさ、出せているでしょうか…!?🙄(不安) (2022年8月29日 18時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - こんにちは!なかなか時間が取れなくて、ちびちび読んでたんですけど、めっちゃくちゃ面白いです!素直に言って好きです。大好きです。コナンとも打ち解けて、……これからの展開が楽しみです!キッドがキザッ!好きッ!忙しいとは思いますが、更新頑張ってください! (2022年8月28日 16時) (レス) id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サワーさん» わわっ、最初からずっと…!お付き合いありがとうございます!お飲みくださる方々に楽しんでいただければそれが何よりです、最後まで頑張ります!💪 (2022年8月26日 17時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - ずっと最初から読んでいた小説がついにクライマックス…!これまでずっと書き続けてくださってありがとうございます!これからもご自身のペースで無理せず書き続けて頂ければと思います!私も毎回楽しみにしています! (2022年8月25日 22時) (レス) @page45 id: fbf43580c0 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 推しの財布さん» コメントありがとうございます!段々ややこしくなってきてしまったなと心配していたのでお褒めの言葉とっても嬉しいです…ε-(´∀`*)✨ (2022年7月24日 22時) (レス) @page31 id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年3月11日 12時