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Ep.04 呼吸を止める ページ4

どこへ行く宛もなく、私はその町を彷徨(さまよ)った。米花町という、この世界のどこにもあるはずもなかった町を。

それがあるということは、私が別の世界に来たか、この世界が唐突に変わってしまったか……。

もしくは私がおかしくなってしまったか……?

あのまま、来た方向の電車に飛び乗ろうかと思った。しかしだ、たとえ上手くいったとして、私が元の世界に帰れる保証はどこにもない。もしもその先が今度こそ私の全く知らない異世界だったら。そう思うと試す気にはなれなかった。

お母さん、どうしてるかな。そろそろ学校から連絡が行ったかな。友達は……、心配してくれるのかな。

この夢はいつ覚めるんだろう。私はいつ、帰れるんだろう。元の世界に。

現実だとは思えないのに、嫌なほど鮮明で、明瞭だ。

私はこの夢を現実だと信じたい。だって、好きな漫画の世界に行けたら、なんて思うのは取り立てておかしなことではないはずだから。

けれどそれを認めたくない自分がいる。

音までも吸い込むような孤独に耐えられない。景色の鮮やかさがいっそ気持ち悪い。身体が起こす拒絶反応みたいな、コントロールの効かない不安が胸の内に広がる。

……確かめよう。

確かめなきゃ始まんない。夢なのか、現実なのか。

もしこれでも分からないくらいのめり込んでる白昼夢なのだとしたら、それはもう現実でいい。だいいち、そこまでヤバい幻覚を見る理由なんて私にはないだろう。

聞いたことがあった。夢の中で痛みを感じないというのは間違いで、脳は自分が作り出した刺激に反応して擬似的な痛みをもたらす。夢かどうかを確かめるには……息を止めろと。

私は道端で立ち止まり、呼吸を止めた。

……一秒、二秒……まだ分からない。

……二十秒。呼吸ができない、という間違いようのない感覚がある。

三十秒。苦しくなってきた。

「……、はあっ…………」

ギリギリになってようやく息を吐き出した。

そこまでやる必要はなかったのだが、後になって気のせいだと勘違いできないように。

何度か咳き込んだ。路傍で奇行に及ぶ女子高生を、通行人が怪訝な目で見て、気にしていないふうな顔で去ってゆく。

「……はァ……、……ははっ」

なんだ。

……夢なんかじゃ、ないじゃないか。

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ほろにがクラゲ(プロフ) - カミレさん» 以前から!ありがとうございます🙏😊✨自分が好きなものをずっと書いてますが、喜んでくれる方がいると思うととっても嬉しいです…!✨ またよろしくお願いします! (2021年11月2日 15時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
カミレ(プロフ) - 以前からほろにがクラゲさんの作品が大好きです。久しぶりに占ツクに来てみたら、新しい作品があってとっても嬉しいです。お話の構成とスピード感、尊敬してます。今回も面白いお話をありがとうございます! 応援してます! (2021年10月29日 14時) (レス) @page14 id: 6ee71cea05 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ふれあさん» コメントありがとうございます!ホントですか…嬉しいです…🥺更新頑張ります! (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 鈴凛さん» コメントありがとうございます!お好きと言っていただけると自信になります…✨✨ (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - snowcatさん» コメントありがとうございます❗あっという間…好み…とっても嬉しいです…😊✨これからも頑張ります! (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2021年9月7日 21時

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