メタ推理で犯人当てたらJK探偵とか呼ばれだした【名探偵コナン】

Ep.13 メタ推理もいいところ ページ13

とはいえこんなものメタ推理もいいところ。

あの交差点の信号はそろそろ変わるんじゃないかとか、ここのテナントは潰れやすいからあの店も長くないとか、そういうレベルの話だ。当たることもあるし、外れることもある。人に説明する根拠としてはあまりにも薄弱すぎて、とても堂々と言えたものではない。

くだらない妄想は、黙っているのが最善である。

私に出来ることは何もない。しばらくここにいろと言われたのだから、大人しくいることにしよう。そういうことに決めて私は道の端から事件を傍観し始めた。

……のだけれど……。



「これって他殺だと思うよ。ほら見てよ！」


身投げか事故として処理されかけていたところを殺人事件に軌道修正する、少年探偵コナンくん。


「警部！ 現場にこんなものが……」


不可解な証拠品を持ってくる捜査員、首を傾げる一行。


「つまり犯人は……」

「ち、違う！ 私じゃない！」


話の流れで突如容疑が深まる一人の容疑者。




────なんかもう、テンプレートか。

捜査が何かしらの動きを見せるたびに、私はそのツッコミを胃の腑まで飲み込む羽目になった。いっそ口にしたかったが、いや、確かな根拠がないんだから、とやはり言葉を飲み込んだ。

けどもうお決まりのパターンだろ。いろいろと。

それとも私以外の人は、あんまりそういう感覚を持たないんだろうか。

普段漫画読んでて「あっ、この流れは……」って察しちゃうことってあるじゃん。けれどそれは読者である私たちの感覚であって、もしかしたらこの世界の人達には、そんなふうに思わないよう魔法がかけられているのかもしれない。

それともみんなどこかで深く理解しているのかな。無いも同然の根拠を振りかざして、容易く人を疑ってかかるべきじゃないって。

……ううん、一部キャラクターを見る限りそんな感じでもないよな……。

「ねえ、お姉ちゃん！」

一人で難しい顔でもしていたであろう私の元に、またコナンがやってきてニッコリと笑みを見せた。「お姉ちゃん」とはまた距離を縮めてきたな。戸惑いのせいか、若干愛想のない返事をしてしまう。

「どうかした？」

「Aのお姉ちゃんは、誰が犯人か分かった？」

「ああ、越智さんだよね」

間髪入れずにそう答えた。

不思議になど思わなかった。言っていいものかなんて迷わなかった。

迷う暇がなかった。

一見、さも人畜無害そうなその子供に……いつの間にか、飲まれていたのだろうか。

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