Ep.3 タンザナイト ページ9
鈴木邸に着くと既に警備体制が敷かれていた。豪奢な邸宅の廊下には機動隊の制服を着た警備人がずらりと並んでいる。
「……あ! パパ!」
廊下の奥の方へ手を振ると、特徴的な丸眼鏡に口ひげ、相変わらずの肥満体型をした父がこちらを振り返って温和な笑みを浮かべた。
「おお、A! 夏ぶりかな、ずいぶん遠いのによく来たね」
「そりゃ実家だからね! ママは?」
「今日は少し用事があってね。私も少ししたら出ないといけないんだ……こんな時だけれど、まあ大丈夫だろう。みんな張り切ってくれているし」
「ふうん……」
「それより、帰ってきたばかりで大変だろう。まさか怪盗の予告とAの帰省が被るなんて……家が落ち着かなかったら、別宅の方にでも……」
「なーに言ってんのよ、パパ。せっかくキッド様が来るってのに家を離れるわけには行かないわ! ね、姉貴!?」
「う、うーん……? そうね……?」
自他ともに認めるキッドファンである園子は、燃え盛る勢いで私に同意を求めた。
本当のところを言えば、今回の帰省には怪盗キッドの予告が大いに関係している。というか、予告状の話を聞いて来週に計画していた帰省をむりやり今週に調整したのだ。
ただし理由が理由なだけに、家族や警察にそれを知られてはまずいので、今は困惑する姉を演じるしかない。
「何よ、乗り気じゃないわね……」
「それで、予告時間は何時なの?」
「今日の夜10時、だそうじゃ」
そう答えたのは鈴木次郎吉の声だった。
「次郎吉おじさま!」
次郎吉は父の兄、つまり私たちの叔父にあたる人だ。怪盗キッドを目の敵にしていて、新聞で挑戦状を叩きつけたりなんかもしたらしい。
「暗号めいた妙な予告じゃったが、もはや解読など造作もないわ……この
おじさまは上機嫌でコナンくんの頭をぐわしと撫でた。当人は微妙な顔をしている。
「あ、あれはおじさんがそう言ってたから……」
「おお、そうかそうか! 毛利探偵が!」
「へ? あ、ああ! まあ私にはいささか幼稚な暗号でしたな……!」
「……今回の予告状って園子にメールで送ってもらったやつよね? 結構わけわからない文面だったと思うのだけれど……」
「あー……あのガキンチョ、そーいうの好きなのよ。ま、しょせんガキの思い付きだけどね!」
ふうん……と相槌をうちながら、飛行機内で何度も読み返した予告文を思い出す。
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» こちらこそ続編までありがとうございます!読んでくれる皆様のおかげです……!一生じゃなくていいのでまた着いてきてくださると嬉しいです(笑) (2019年9月28日 14時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 本当に過去編を書いてくれるなんて、、、!ありがとうございます!!一生ついて行きます!笑 これからも更新頑張って下さい! (2019年9月25日 20時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月25日 18時