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「……あなた、新一じゃないわね?」

(へ?)

不意に蘭はパッと身を離して虫を見るような目でキッドを睨みつけた。

そんな、どうして急に? 不思議に思って身を乗り出したたとき、ぱちりと視線があった。蘭がこちらを見ていたのだ。

(しまっ……!)

「……ねえ、そこに誰かいるの?」

慌てて身を隠すも遅い。私は今、盗まれた指輪を持っている。怪盗キッドが目の前にいるのに、こんなところに隠れて様子を窺っている。怪盗キッドと接触していないのに指輪を持っていて、なおかつ全てを黙って見ていた。

(今ここで私が見つかるのは……マズい!)

蘭はこちらへ歩いてくる。時間が無い。持ちうる情報を総動員、頭をフル回転。どうすれば切り抜けられる?

指輪を持っている理由、隠れていた理由、それら全てに整合性を持たせる理由​───────……

………………



……ああ、もうこれしかない……​───────







風が動く。

瞬いた目が大きく見開かれた。

刹那の間に目の前に現れたシルエット。澄んだ瞳に淡い空色が(ひるがえ)る。

「え…………?」

アーモンドトゥのパンプスを履いた脚がこつりと床を鳴らす。月夜の明かりが、パステルカラーのドレスを朧気に浮かび上がらせている。

その人影は、暗色のベールに隠された目を細めて笑った。口元が美しく控えめに弧を描き、演技がかったような口調で「彼女」は蘭に唇を開く。

「​───────初めまして、お嬢様。ワタシとした事が……どうやらお邪魔をしてしまったようだね」

音もなく吹き抜ける夜風のような声音。どこかで聞いたことがあるような気がした。

「え? あ、あの……あなたは……? 私、てっきりAさんがそこにいるのかと……」

「……失礼。名がないとは言わないけれど……」

ちらりとエレベーターを見やる。ピンポン、またあの軽快な音がした。緩慢に開く扉の向こうから、鬼気迫った様子のコナンが飛び出してきた。

「名乗るほどの者でもない、ってことで」

「あ……」

女性は蘭の左手を宝物に触れるように取り、「天空の貴婦人」をその指に通して満足気に笑った。

コナンは壇上のキッドを見て勢い付く。が、それよりも蘭の隣に立つ謎の人影に足を止めて眉を寄せた。

「な……、だ、誰だ!?」

それに気が付いた彼女は、オペラグローブに包んだ手をコナンへ振ってみせた。フィッシュテールのカクテルドレス、目元は黒いベールに覆われていて顔はよく見えなかった。

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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» ありがとうございます!完結しました!よかったです、今回は特に私の自己満だったので、楽しんでくれてる人いるかなー?って心配で…ホントですか!過去編!か、書いてみようかな?? (2019年9月22日 21時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 完結おめでとうこざいます!ほんっとに最高でした!!過去編マジで見たいです…! (2019年9月22日 21時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - パシェロさん» ひゃあありがとうございますー!できるだけ映画に沿えるように…物語に夢主が埋もれるかもしれないんですが…(;´Д`)今後も頑張ります! (2019年9月7日 9時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
パシェロ(プロフ) - にゃんーーー!!((^ω^ΞΞΞ^ω^))これが見たかったー!!映画風の夢小説見たかったんやー! (2019年9月7日 8時) (レス) id: b9096b0156 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - バス停さん» 私必死に金ローしてました() 大丈夫ですかちゃんと画面観れました? (2019年9月6日 23時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月5日 16時

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