彼女の記憶と贖罪 ページ26
「ふふ……管理人さんはよっぽど元の世界に帰りたいのね」
彼女は静かに微笑んだ、その遠い眼差しは先程のキラキラした目とは違い、どこか哀愁を漂っていた。
その寂しげな声色を聞いた瞬間私ははっと彼女を見つめる。
「せっかく仲良くなれたのに寂しい……なんて我が儘かしら」
「……そんなことない、誰だって、別れは寂しいものだわ」
震える睫毛、恐る恐るこちらを見上げるまだあどけなさ残る少女の顔つき。
彼女と視界が絡むと、彼女はまた遠慮がちに目を伏せた。
「管理人さん、貴女は別れを言うまもなく、その悲しい別れを遂げたのよね
大切な人を置いて」
「大切な人……」
私は思わずその言葉を繰り返した。
なにか引っ掛かるような、それでいて私の人生のなかで特異な物の様な気がして。
「私は、大切な物を、者を、守るために生きてきたわ。
でも、ここには倒すべき悪も、守るべき正義もない。
職員は、オデリはとても優しくしてくれるわ、でもね壁があるの、見えるの。
私は彼女を、皆を"悪から"守りたいけど、きっと彼女は"私から"自身を、皆を守りたいのね」
「……」
その特異な異物感を確かめきる前に私は絶句した。
私は彼女の状態が不安定になり、見るも邪悪な蛇に変身しているのを見たことが……正確には鎮圧したことがある。
だが、彼女は己が自身が倒すべき悪になることを知らない、いや知っていたとしても記憶から抹消されていたハズだ。
記憶から消したふりをしていたのか?
奥底にしまっていた記憶が漏れだしたのか?
目の前の彼女が小さく呻いている……。
「うぅっ……」
違う、これは嗚咽だ。
「……私ね、嫌な夢を見るの、大きな、邪悪な巨大な蛇になっているの……私の身体は、私の正義のためにかざしたステッキが貫いていて身を捩ることもできないの……。
まるで、"今倒すべき悪はお前だ"って言われているみたいに……
目が覚めると、そこは血の海だった。
私が、私がやったのね、救うべきものを殺め、自分の正義を穢してしまった。
ごめんなさい……許して、赦して……」
彼女が語る。
彼女の口から惨劇の日の出来事が紡がれる。
かつて王国を救い悪と戦った少女は、今狭い箱の中で救った命より遥かに少ない奪った命について頭をたれ独白している。
私は思わずこの残酷で純粋な懺悔に、贖罪に目を耳を奪われていた。
自らがたった１つの罪と何百もの善になった気分であった。
たった今彼女が不安定な状況であるのを忘れて。
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怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - 紅夜赤猫さん» ひぇっ見つけていただきありがとうございます……！ご期待に添えればいいのですが……！こちらも好きです！！(！？！？) (2020年6月14日 7時) (
レス) id: a3e985f800 (このIDを非表示/違反報告)
紅夜赤猫(プロフ) - ないだろうな.......とか思いながら探してたら神を見つけました。称えます。ゆっくり読ませていただきます。好きです（？） (2020年6月13日 22時) (レス) id: 65e183dcbc (このIDを非表示/違反報告)
ねこねここねこ(プロフ) - 怒らないで委員会会長mAKAさん» いえいえ、暗い雰囲気だから好きと言うわけではないから全然大丈夫ですよ！！頑張ってください！！！(こちら返信不要です！) (2019年10月26日 11時) (レス) id: 8dfe7db7a7 (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - テンパりすぎて文章が可笑しくなってしまった……すみません (2019年10月26日 8時) (レス) id: 970d62df08 (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - ねこねここねこさん» ありがとうございます……!!恐らくヒロアカ編では明るい雰囲気にするつもりなので、もしかしたらご期待に添えないかもしれませんがこれからも頑張りますのでお願い致します (2019年10月26日 8時) (レス) id: 970d62df08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怒らないで委員会会長mAKA | 作成日時：2019年10月8日 17時
