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「A、ちょっと行ってくるね!」





『うん。行ってらっしゃい。』





最近、佑亮は良く呼び出されるようになった。隣のクラスの女の子。





廊下で話している姿をちらっと盗み見する。





知ってるんだ。バイトのお迎えがいつもより遅くなったのは、この子と一緒にいるから。





2人が付き合うのも時間の問題だった。





佑亮の恋路は邪魔したくないし、もちろん邪魔するつもりもない。





『ねぇ、佑亮。もうバイトのお迎え大丈夫だよ。朝の登校も。彼女のこと優先してあげて。』





「いや、でも…」





『大丈夫だよ。子どもじゃないし、暗いのだって平気。』





「そうじゃなくて…」





『大丈夫!』





きっと、佑亮は私のメンタルのことを心配しているんだろう。本当はいま一人にして欲しくないし、一人になりたくない。





拓弥くんのことを思い出して壊れてしまいそうだから。





バイト先への道程をトボトボと歩いて鉛のように重く感じる足を動かした。





「あ、…Aちゃん。」





突然声を掛けられ、その先へと振り返る。





『祐基くん…。』





「なんか、元気ないね。これからバイト?」





『…はい。』





「じゃあ、一緒に行っても良い!?…えっ、ちょ、ちょっとAちゃん、どうしたの!?」





『ううん。なんでもないです。』





気が付いたら、涙が溢れてた。誰かにすがりたかった。





「俺と一緒に行くの泣くほど嫌だった…?」





『…はい。』





「えっ!?」





『ふふっ、嘘です。』








大丈夫と言ったものの、バイト終わりに今日から一人で帰るのかと思うとちょっと寂しい。





いつも佑亮が待っててくれたガードレールを見つめた。





『寂しいなぁ……一人って。』





「寂しいなら、一緒に帰ろう?」





今日は、祐基くんがずっとお店にいてくれた。私の元気がないのが気になっていたからだと。




「いつも来てる幼馴染くんは?」




『…あ、彼女が出来たのでもうお迎え大丈夫って断ったんです。』




「そっか…。あのさ、俺が…迎えに来ちゃダメ…かな?」





利用しているみたいで本当は胸が痛いけど、ただただ祐基くんの優しさに救われたかもしれない。

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作者名: | 作成日時:2018年9月18日 8時

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