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「A…A!ここの答えは?」





「…A、当たってるよ。」




後ろの席に座る佑亮に背中をつんつんされて、ふと我に返った。





ずっとあの人のこと考えてた。





『あ、えっと…その…』





「もういいぞ。話聞いとけよ〜。」





『はい…ごめんなさい。』





周りから集まる視線がいやに痛くて恥ずかしい。尻すぼみになりながら席に座った。





「じゃあ、代わりに福田。」





「え、僕!?むりむりむりむり!!!」






必死で首を振るアクションにドッとクラスが笑いに包まれる。佑亮のお陰でちょっと心が軽くなった。





長い授業が終わり、唸り声を上げながら机に突っ伏した。





「珍しいね。Aが注意されるなんて。」





『ちょっと考え事してた。佑亮これから部活?』





「うん!もうすぐ大会だし、踊ってくる!Aはバイトだよね?」





『うん、今日は21時まで。』





「じゃあ、いつものところで待ってる。頑張ってね!」





学校から家までの通り道にある洋食屋さんがわたしのアルバイト先。その前が佑亮との待ち合わせ場所。一人で帰れると言っているのに、夜遅いからと部活帰りにいつも迎えに来てくれる。





バイトが始まってから2時間ちょっと




嵐のような人たちが来た。




赤いパーカーを着た人がキョロキョロと顔を動かして店内を見渡している。




「…あ!!いた!Aちゃん!!!」





店内で大きな声で名前を呼んで大きく手を振ってくるのは辞めてほしい。





『なんでしょうか…』





「注文!してもいい?えっと〜、ハンバーグセット!海は?」





「じゃあ、俺も同じで。」





「あ、あとAちゃんの笑顔付きでね!」





思わず、苦笑いになった。





『…あ。』




「なに?」




『いえ、何でもないです。ハンバーグセット2つですね。かしこまりました。』





訪れる度に絡んでくる赤いパーカーを着た村田さん。そして毎回一緒に来る小笠原さんと目が合った。この2人が着ている制服、東屋で見る彼と同じだ…





「そうだ、後でもう1人来るからおしぼり貰っておいてもいい?」





『は、はい…!』





時刻は20時45分。あと15分で終わりの時間だ。

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作者名: | 作成日時:2018年9月18日 8時

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