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なんだったの、あれは。
松尾君の姿が忘れらず頭の中をぐるぐるする。
松尾君が私に対して松尾君って。
きっとこんないい天気なのに雨降るよ？
「雨だ……」
真っ暗な中でしとしとと降る雨に、靴を履いてつい立ち尽くした。
「まさか傘忘れたん？」
「ま、つお！」
「呼び捨てとはいい度胸やな」
隣で立ち止まった松尾君に驚いてあからさまに動揺。
「傘、ありますし！」
カバンの中から折り畳み傘をだして見せつける。
はい、常に携帯しているんです。
「ほんまや、さっすが」
にっこり笑う松尾君。
あれ、松尾君は？傘……
「ないのね……」
にこにこ笑顔で傘に入る松尾君。
幸か不幸か周りには生徒がまばらで松尾君との相合傘に気付いていない。
すっかり松尾君のペースで、先ほどのどきどきはなくなっていた。
「松尾君の家はどこなの？」
「先輩はどこなん？」
「私は西区だけど」
「へぇ、近いかも」
「じゃあ道こっちでいいの？」
「うん、先輩についてく。っていうか、」
「ん？」
「さっきから頭に傘当たってんねんけど。痛い」
よく考えてみたらどんな状況だこれ。
松尾君がさらっと傘に入ってきてそのまま歩いていたけど。
普通は男が傘持つよね？
しかも松尾君って背が高いじゃん？
どうりで手が痛いわけだ……！
「じゃあ松尾君持ってよー！」
「えー」
「って、ブレザー濡れてるよ！？」
「先輩が相合傘下手くそやから」
「うるさいな！ブレザー濡れると匂うよ！もっとほら、こっちおいで！」
松尾君の袖を掴んで引き寄せる。
もういいよ、私が持ったままでいい。
ブレザーの異臭の方が大変だから！
「……はあ、またそうやって」
「あのね、もし臭うようだったら霧吹きにお酢をいれてね、」
「はいはいはい」
そう言いながらひょい、と傘を持つ松尾君。
「自分のブレザーの心配したら？」
狭い折り畳み傘。
お互い肩が濡れてしまった。
でもさらりとそういうことする松尾君は、ずるい。
「あ、私の家ここだから」
結局自分の家まで松尾君を連れてきてしまった。
「大きい傘持ってくるから待ってて」
「いや、いい。これ貸して」
「でも小さいし、花柄だし……」
「おやすみ」
最後ににっこり笑って、松尾君は去っていく。
花柄の折り畳み傘が見えなくなるのを見届けて家に入った。
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5 - 続きが気になります！！ (2020年4月24日 1時) (
レス) id: e2f7b4b683 (このIDを非表示/違反報告)
あ - もう更新はなさらないのでしょうか？（ ; ; ） (2020年2月5日 4時) (レス) id: 69e88fbea1 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 続きが楽しみです！更新楽しみにしてます〜(^ ^) (2019年1月16日 19時) (レス) id: 7620beece4 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - すごく面白かったので更新楽しみにしてます！ (2018年12月24日 12時) (レス) id: 1ea4876c06 (このIDを非表示/違反報告)
かいら(プロフ) - 面白かったです！更新頑張ってくださいー (2018年6月18日 13時) (レス) id: f9d0a6bd90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：plum ne
| 作成日時：2016年11月3日 23時
