松尾君と、憂鬱

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ブレザーとワイシャツをはぎとって、黙々とシミを抜いた。









「くしゅんっ」





前から聞こえたくしゃみで我に返り、ばっと顔をあげると上裸の松尾君が鼻をこすっていた。







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「わあ！？ちょっと、なんで裸なの！？」


「自分がはぎとったんやろ」







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……やってしまった。



また我を忘れて、突っ走ってしまったのか。









「ごごごごめん……これでシミにならないとおもう」







顔を見れずにブレザーとワイシャツを押し付けてその場を走り去った。



馬鹿、大馬鹿。
元彼にはこういうことばかりで振られたというのに。


……駄目だなあ。








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「A、松尾君下歩いてるよ、ほらほら！」





渡り廊下から下を眺めて飽きずに言う。






私は松尾君と顔を合わせたくない。
でもブレザーとワイシャツが気になってしまって、ちょこんと少しだけ顔を出して覗いてみた。






「手振ったら返してくれるかな、手振っちゃおうかな、きゃー振ってくれた！」







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友人が手を振るもんだからこちらをみた松尾君。

案の定友人に手を振り返して、私の方をちらりと見る。








いつもの塩対応？いや違った。








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松尾君は微笑みながら私に手を振る。









「え、」






な、に、それ。








とっさに顔をひっこめて、しゃがみこむ。









松尾君に、不覚にもどきっとしてしまった。






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