留学から帰って早々人質になりました。2 (ページ1)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:35,128 hit

3月9日ページ1

次の日になっても柊は目を覚ますことはなかった。その為に、今日も自習となった。

｢堀部、パソコン借りてもいいか？｣

堀部｢うん｣

里見｢成海どこ行くんだ？｣

｢･･･ちょっとな｣

俺はそう言って堀部からパソコンを借りて長方形の封筒を持って教室を出た。廊下の机にパソコンを置き、電源を入れDVDを入れた。そして音が漏れないようにイヤホンをして動画を見た。

澪奈『五十嵐成海、これを見てるってことは･･･先生が渡してくれたってことだよね？』

｢!?｣

そこには澪奈が映っていた。なんで？どういうことだ？

澪奈『成海、まず謝りたいことがあるんだ。本当のこと言わずに隠しててごめんね、本当のこと言ったあなたの事だからきっと戻ってくるって思って･･･。
それと急に連絡取れなくなってごめんね。携帯が見る度、幻聴が聴こえてくるの。もう、何を信じたらいいのかわかんなくって･･･。自分が自分じゃなくなっちゃいそうで･･･。だから、成海からの電話だって分かっても出るのが怖かった』

だからあの時、怯えた声で電話に出てたのか･･･。まさか･･･柊はあの時犯人は別にいると言った、もしかしてこれが･･･。だから柊が全国民の敵になる必要があるって言ったのか？

その後も付き合った時の話や修学旅行の話、部活の話やテストの点数競った時の話、遊園地行った話などを澪奈は楽しそうに話していた。

澪奈『私は成海と一緒に楽しい時間を過ごすことが出来て幸せでした。でしたって言うのもなんか変だよね』

｢変じゃねぇよ･･･変じゃ･･･ねぇ･･･｣

俺は手を目の前に持ってきた。止めようと思っても次々に涙が出てくる。そして、そろそろ終わりに近付いた時、澪奈が俺に最後の願いがあると言った。

澪奈『もし･･･私が居なくなっても、成海は生きて幸せになって欲しいの』

｢何言ってんだよ･･･俺は･･･｣

澪奈『私の分まで生きて、そして幸せになって下さい。ｸﾞｽｯ)じゃないと、夢に化けて出てくるから』

｢ﾊﾊｯ･･･それは勘弁だな･･････｣

澪奈『私の最後の願い、私の分まで生きて幸せになってね成海。私はずっと成海の心に居るから。じゃあね、ありがとう』

そこでDVDが終わった。パソコンを閉じ机に寄りかかりながらしゃがみ込む。

｢っ･･･くっ･･･｣

さくら｢成海くん･･･？｣

｢茅･･･野ちゃん･･･｣

さくら｢ど、どうしたの!?どこか痛むの？｣